「朝起きてスマホのポートフォリオを見るのが怖い……」
数ヶ月前の私は、毎朝そんな憂鬱な気分で目を覚ましていました。
「仮想通貨ブームに乗って買ってみたはいいものの、気づけば資産が半分に減っている」
「このまま持ってたらゼロになるんじゃないか。でも、今売って明日爆上がりしたら一生後悔するし……」
家族には内緒で始めた投資。誰にも相談できず、毎日チャートとにらめっこしては「どうしてあの時売らなかったんだ」と自分を責める日々。もしあなたが今、同じような不安を抱えているなら、そのヒリヒリするような焦り、痛いほどよく分かります。なぜなら、私自身が全く同じ状況に陥っていたからです。
この記事では、「とりあえず色々買ってみたら、見事に含み損50%を食らった」という私の痛い失敗談も交えつつ、そこからどんなシミュレーションをし、結果的にどう行動したのかを赤裸々にお話しします。
「アルトコインは損切りして、ビットコインだけ残した方がいいのかな?」と迷っている方の、一つの判断材料になれば嬉しいです。
60万円で買った仮想通貨が30万円になった

期待に胸を膨らませて投入した60万円。それが、みるみるうちに30万円にまで溶けていきました。
現在の保有状況
「これからは仮想通貨の時代だ!」と鼻息荒く飛び込んだ当時の私。NISAや投資信託である程度コツコツやれていた安心感も手伝って、「せっかくなら一発当てたい」と欲を出してしまったんですね。
その結果がこれです。
- BTC(ビットコイン):19万円
- ETH(イーサリアム):5万円
- XRP(リップル):8万円
- さらにはSHIB(シバイヌ)やDOGE(ドージコイン)といったミームコインまで……。
「とりあえず分散投資しておけばリスクヘッジになるだろう」なんて、投資の教科書をかじったような浅はかな知識で、あれもこれもと手を出してしまいました。結果的に、管理しきれない数のコインを抱え込み、市場全体の下落とともに仲良く全員が急降下していくのを、ただ指をくわえて見ていることしかできませんでした。
正直かなり悩んだ
毎日口座を見るたびに資産が減っていく恐怖は、想像以上でした。特にアルトコインの下げ幅はえげつなく、「もうこれ以上減るのは耐えられない、今すぐ全部売ってしまおうか」と何度スマホの売却ボタンに指をかけたことか。
「でも、もし売った直後にトランプさんが何か発言して爆上がりしたら……?」
「家族には内緒のお金とはいえ、ここで損切りしたらもう取り戻せない……」
そんな葛藤がぐるぐると頭の中を回り、精神的にかなり追い詰められていました。「自分だけが間違った判断をしているんじゃないか」と、SNSで同じように損している人を探しては安心しようとする、典型的な負け組投資家のマインドに陥っていたんです。
最初に考えたのは「アルトコインを売ってBTCへ寄せる」だった
「せめて傷が浅いうちに、一番安全そうなものに避難したい!」
そう焦った私が、すがるような思いで最初に思いついた行動がこれでした。
ビットコインが最も生き残る可能性が高い
毎日不安で仕方がない私は、「自分がこれからやろうとしていること(アルトコインを損切りしてビットコインに乗り換えること)」を正当化するための理由を、ネットで必死に探し回りました。
色々と調べていくと、やっぱり「仮想通貨の王様はビットコインだ」という意見ばかりが目につくんです。よく分からない草コインが次々と消えていく中で、なんだかんだ言って一番長く生き残り、世界中から価値を認められているのはビットコインだけなんじゃないか、と。
トランプ政権やETFはBTCの追い風
さらに当時のニュースを見ると、「トランプ政権が仮想通貨に前向きだ」とか「ビットコインのETF(上場投資信託)に巨額の資金が流れ込んでいる」といった、ビットコインにとってのポジティブな話題がたくさんありました。
「やっぱり時代はビットコインなんだ! アルトコインなんて持っている場合じゃない!」
当時の私は、こうしたニュースを見るたびに「乗り換え」という選択肢が正解だと確信し始めていました。
金利上昇局面ではアルトよりBTCが有利
そのうえ、「金利が上がると、リスクの高いアルトコインからは資金が逃げ出しやすく、相対的に安全と見なされるビットコインに資金が集中しやすい」といった、ちょっと専門的でもっともらしい解説記事まで見つけてしまいました。
「なるほど、だから今の相場はこんなに苦しいのか。やっぱり、ボロボロのアルトコインは今のうちに全部損切りして、少しでも将来性のあるビットコインに全額移し替えるのが、賢い大人の対応なんだな」
そう納得した私は、いよいよアルトコインの売却を決意しました。
「これでようやく、毎日チャートを見てビクビクする日々から解放される……!」
そう思いながら、取引所のアプリを開いたのです。
しかし途中であることに気づいた。「円建て」ではなく「BTC建て」の罠
「これで楽になれる……!」
そう思いながら、暗号資産取引所のアプリを開き、持っているアルトコインを売却してビットコイン(BTC)を買い直すシミュレーションを始めました。
しかし、電卓を叩いているうちに、私の手はピタッと止まりました。
「あれ? 今アルトコインを全部売ってBTCを買っても、思ったより全然BTCの枚数が増えないぞ……?」
ここで私は、投資初心者だった自分が全く見落としていた、ある「重要な事実」に気づいてしまったのです。
アルトコインだけが都合よく上がることは少ない
私はずっと、「自分の持っているアルトコインが下がっている」ことばかりに気を取られていました。しかし、チャートをよく見比べてみると、衝撃の事実に気づきます。
私が持っているXRPやETHが下がっている時、大抵はビットコインも同じように下がっていたのです。
仮想通貨の市場というのは、良くも悪くも「ビットコインが親分」のような構造になっています。ビットコインの価格が上がれば市場全体が盛り上がってアルトコインも釣られて上がり、逆にビットコインが下がれば、アルトコインはそれ以上の勢いで暴落しやすいという傾向があります。
「いつか自分のアルトコインだけが奇跡的に爆上がりして、それを元手にビットコインを買おう」なんて甘い期待を抱いていたのですが、そもそもビットコインが下がっている状況で、アルトコインだけが単独でグングン伸びていくことなど、滅多にないのだと痛感しました。
アルトを安値で売っても、今はBTCも安い
シミュレーションをしていて一番ハッとしたのは、まさにここでした。
例えば、私が買ったXRPの価格が半値になってしまったとします。「うわ、大損だ!」と円建て(日本円換算)の金額だけを見てパニックになり、慌てて売却しようとしていました。
でも、ちょっと待ってください。その時、乗り換え先であるビットコインも同じように半値に下がっていたらどうなるでしょうか?
売却して手に入る日本円はたしかに減っていますが、新しく買うビットコインの値段も安くなっているわけです。つまり、XRPを売ったお金で買える「ビットコインの数量」は、暴落する前と比べても、実はそこまで劇的には変わらないということに気づいたのです。
「円」の数字だけを見て「今すぐ損切りしなきゃ!」と焦っていましたが、アルトコインもビットコインも全体的に安くなっている今のタイミングで乗り換えても、単に取引所へ手数料を払って持ち物を入れ替えるだけで、状況が劇的に好転するわけではなかったのです。
重要なのは「円建て」ではなく「BTC建て」
投資の先輩たちがよく「アルトコインが上がったら、利益をビットコインに換えておくんだよ」と言っている意味が、ここに来てようやく腑に落ちました。
多くの人は(過去の私も含め)、スマホの画面に表示される「日本円での評価額」ばかりを見て一喜一憂してしまいます。しかし、仮想通貨同士の乗り換えを考える時に本当に見るべきなのは、「円建て」ではなく「BTC建て(ビットコイン換算でいくらになるか)」だったんです。
今の私に突きつけられた本当の問いは、「XRPの円価格が上がるかどうか」ではなく、「XRPがビットコイン以上の伸び率で上昇するかどうか」でした。
そして、その答えは「誰にも分からない」です。
この計算のカラクリに気づいた瞬間、「今、慌ててアルトコインを底値で手放してビットコインに乗り換えるのは、ただ焦りからくる無意味な行動かもしれない」と、スーッと冷静さを取り戻すことができました。
今の仮想通貨市場、追い風と逆風を冷静に整理してみた
無意味な乗り換えを思いとどまった私は、一度スマホを置き、深呼吸をしました。
「よし、とりあえず焦って動くのはやめよう。でも、じゃあこのまま持ち続けて本当に大丈夫なのか?」
不安を完全に消し去るため、私は「今の仮想通貨市場を取り巻く状況」を、良い面も悪い面もフラットに調べ直してみることにしました。
トランプ政権の仮想通貨推進やETFの資金流入
まず、私を安心させてくれたポジティブなニュース(追い風)はいくつかありました。
例えば、アメリカの政治動向です。トランプ政権が仮想通貨に対して前向きな発言をしており、「もしかして国が本格的に後押ししてくれるんじゃないか?」という期待感が高まっていました。一部では「ビットコインを国の準備金にする構想がある」なんて途方もないスケールの話まで飛び交っていて、「それなら持っておいて損はないかも」と思わせてくれます。
また、ビットコインの現物ETF(上場投資信託)が承認されたことで、これまで仮想通貨に触れてこなかった機関投資家などの莫大な資金が、少しずつ市場に流れ込んできているというニュースも心強いものでした。さらに、各国で法整備が進みつつあり、かつての「怪しい無法地帯」から「真っ当な金融資産」へと見られ方が変わってきているのも、長期的に見ればプラスの要素です。
利上げ観測やリスク資産からの資金流出
一方で、現実を直視させられるネガティブなニュース(逆風)も当然ありました。
私が一番気になったのは、各国の「利上げ(金利が上がること)」に関するニュースです。金利が上がると、銀行にお金を預けたり、比較的安全な債券を買ったりするだけで堅実にお金が増えるようになります。
すると、わざわざ価格の上がり下がりが激しい仮想通貨(リスク資産)に投資するメリットが薄れてしまい、大口の投資家たちが「仮想通貨から安全な資産へとお金を移してしまう(資金流出)」というのです。
実際、高金利の環境下では株や仮想通貨の価格は上がりにくい傾向がある、という専門家の解説を読んで、「だから今、こんなに価格が低迷しているのか……」と妙に納得してしまいました。
良いニュースもあれば、悪いニュースもある。
必死に調べてみたものの、結局のところ「これから絶対に上がる」という保証はどこにもありませんでした。相場は誰にも読めない、という冷酷な現実を突きつけられた気分でした。
最終的に私がガチホを選んだ理由
いろいろ悩み、計算し、相場の追い風と逆風を調べ尽くした結果……私は「何もしない」という決断を下しました。
「結局それかよ!」と突っ込まれてしまいそうですが、これは思考停止で放置しているわけではありません。今の自分の状況と市場の現実を照らし合わせた上で、一番納得できる「積極的なガチホ(長期保有)」を選んだのです。
その理由をお話しします。
今売る決定的な理由が見当たらなかった
一番大きかったのは、「今どうしても現金化しなければならない理由」がなかったことです。
もし明日食べるご飯に困っていたり、来月のカード支払いがショートしそうだったりするなら、迷わず損切りして現金に戻していたでしょう。しかし、含み損を抱えて胃が痛いとはいえ、それはあくまで「画面上の数字」が減っているだけ。
「円建て」で大損しているように見えても、乗り換え先のビットコインも同じように安くなっている今の状況では、焦ってアルトコインを手放す合理的な理由が、私には見つけられませんでした。
生活防衛資金には手をつけていなかった
もう一つ、私を精神的なパニックから救ってくれたのは、「投資に回した60万円は、最悪なくなっても明日からの生活が破綻するお金ではなかった」という事実です。
「損をしたくない!」という執着の裏には、どこか「一発逆転して楽になりたい」というスケベ心がありました。しかし、冷静になって家計全体を見渡してみると、毎月の生活費や万が一の時のための「生活防衛資金」には手をつけていなかったんです。
「あれ? 別にこの60万円が30万円になろうが、ゼロになろうが、今の生活が突然苦しくなるわけじゃないよな」
このことに改めて気づけた瞬間、肩の力がスッと抜けました。やはり、「余剰資金で投資をする」という教科書通りの鉄則は、暴落時に自分のメンタルを守る最強の盾になるのだと、身をもって学びました。
数年後に後悔する可能性の方が高いと思った
そして最後に私の背中を押した(というか、売却ボタンから手を遠ざけた)のは、「自分が一番後悔するのはどんな時か?」を想像したことです。
もし今、恐怖に耐えきれずに30万円で全部損切りしてしまったとします。その後、さらに市場が暴落してゼロになったら「あの時売っておいてよかった」と思うかもしれません。
でも、数年後。
仮想通貨市場が再び冬の時代を抜け出し、「あの時が歴史的な大底だったね」と笑い話になり、手放したはずのアルトコインが数倍、数十倍に跳ね上がっていたとしたら……?
「なんであの時、たった数万円の含み損にビビって手放してしまったんだ!!」
きっと私は、ベッドの中で転げ回るほど後悔するでしょう。
「損切りして後悔する自分」と、「ガチホしてゼロになって後悔する自分」。両方を天秤にかけた時、私は圧倒的に「数年後に上がりきったチャートを見て、指をくわえているだけの自分」の方が許せなかったんです。
まとめ|今の私の結論
「アルトコインを売って、ビットコインに乗り換えるべきか?」
この問いに対して、今の私が出した結論は以下の通りです。
- ビットコインへ寄せる考え方自体は合理的
仮想通貨の中で一番生き残る可能性が高いのは、間違いなくビットコインです。長期的に見れば、アルトコインを整理してビットコインに集約していく戦略は、決して間違っていません。 - ただし、今はビットコインも安い
ここが一番の落とし穴です。「円」の金額だけを見て焦らないでください。アルトコインもビットコインも全体的に下がっているタイミングで乗り換えても、手に入るビットコインの枚数はそこまで増えません。無駄に取引手数料を払うだけで終わる可能性もあります。 - 焦って動いても結果は大きく変わらない。だから私はガチホする
状況が劇的に変わらないのであれば、今の不安な感情に流されて「売却」というボタンを押す必要はありません。
もしあなたが今、私と同じように口座の含み損を見て「今すぐどうにかしなきゃ!」と焦っているなら。まずは一度スマホを閉じて、大きく深呼吸をしてみてください。
そして、「日本円でいくら損しているか」ではなく、「売ったお金でビットコインがどれくらい買えるのか(BTC建て)」を冷静に計算してみてください。さらに、「このお金がなくなったら明日からの生活が立ち行かなくなるのか」を自分に問いかけてみてください。
きっと、パニックになっていた頭が少しずつ冷静さを取り戻し、「自分が本当に納得できる選択」が見えてくるはずです。
投資の世界に「絶対の正解」はありません。
でも、「後悔しない選択」は自分で決めることができます。私のこの痛い失敗と計算プロセスが、あなたの選択の助けになれば、これ以上嬉しいことはありません。一緒にこの冬の時代を、焦らず、悔いのないように乗り切っていきましょう。