お金を整える(家計の最適化)

【実録】40歳子育て世代が入院一時金特約と特定治療支援特約を解約した理由|月5,000円をオルカンに回してみた

SNSで「今月のカード請求額がやばい」「息子の塾代でボーナスが飛んだ」という投稿を見るたび、過去の我が家のことのように首がもげそうに頷いてしまいます。

現在40歳の私(パパ)と妻(ママ)、そして小学生の子どもが2人。住宅ローンを抱えながら、毎月のカツカツな家計のやりくりに頭を抱える、ごく普通の「サルヂエファミリー」です。

数年前の私たちは、将来の不安から「とりあえず安心できそうなもの」に手当たり次第お金を払っていました。その最たるものが「生命保険・医療保険」です。 「万が一がんになったらどうしよう」「子どもに迷惑をかけられない」という漠然とした恐怖から、保険営業マンに勧められるがまま、よく分からない特約を山盛りにしていたんです。

しかし、ふと立ち止まって家計簿を見直したとき、私たちはある重大な事実に気づきました。 「これ、本当に全部必要なの?」と。

この記事では、私たち夫婦が毎月の固定費と正面から向き合い、「入院一時金特約」と「特定治療支援特約」を解約して、浮いた月5,000円をNISA(オルカン)での資産形成に回すまでの、リアルな葛藤と検証の記録をお届けします。

「保険料を少しでも安くしたいけれど、解約するのは怖い」「NISAにお金を回したいけど余裕がない」と悩んでいる子育て世代のパパやママへ。私たちの生々しい失敗と決断が、あなたの家計を最適化するヒントになれば幸いです。

保険証券を見て夫婦で青ざめた夜

「これ、本当に全部必要なの?」膨れ上がる固定費への焦り

「ねえ、毎月の保険料だけでこんなに引かれてるんだけど……」 ある晩、家計簿アプリを見つめていた妻が、深くため息をつきました。

当時、我が家は私と妻の保険料を合わせて、毎月数万円という小さくない額を支払っていました。住宅ローンの返済に加えて、小学生の息子2人の習い事代や食費が右肩上がりで増えていく中、この「毎月確実に飛んでいく固定費」は、真綿で首を絞めるように私たちの家計を圧迫していたのです。

「でもさ、パパにもしものことがあったら困るし、病気になったらお金かかるでしょ? 解約して丸腰になるのは絶対に嫌だよ」

妻の言うことはもっともです。直感派で心配性の妻にとって、保険は「安心を買うためのお守り」。私自身も、「まあ、みんな入ってるし、何かあった時のために……」と思考停止で払い続けていました。

しかし、理屈派の私としては、一度気になり始めるとスルーできません。重い腰を上げ、クローゼットの奥からホコリを被った「保険証券のファイル」を引っ張り出してきました。

言われるがまま契約していた「謎の特約」の正体

夫婦でテーブルに向かい合い、保険証券の細かい文字を追っていきました。そこで初めて、自分たちが「何にいくら払っているのか」を明確に知ることになったのです。

ベースとなる死亡保障や基本の医療保険に加えて、毎月の保険料を無駄に押し上げていた犯人が、ずらりと並ぶ「特約」たちでした。

中でもひときわ存在感を放っていたのが、以下の2つです。

  • 入院一時金特約:入院したら日帰りでもまとまったお金(5万円や10万円)がもらえる

  • 特定治療支援特約:特定の病気(がん等)と診断されたり、指定された治療を受けた際にお金が下りる

「これ、契約したとき『とりあえず付けておくと安心ですよ!コーヒー1杯分のプラスで済みますから!』って営業の人に言われて、よく分からずハンコ押したやつだ……」

一つひとつは「月数百円〜数千円」かもしれません。しかし、これらがチリツモとなり、私の保険だけでこの特約部分に「毎月約5,000円」も支払っていたのです。

「月5,000円ってことは、年間6万円。これから15年払い続けたら……90万円!?」 計算機を叩いた私を見て、妻も青ざめました。

私たちは「何に対するリスク」なのかも明確に理解しないまま、「不安という感情」だけで、年間6万円ものお金を垂れ流していたことに気づいたのです。これが、我が家の「保険見直し大作戦」の幕開けでした。

高額療養費制度のリアルを夫婦で徹底検証してみた

医療費はどこまで国が助けてくれるのか?

特約を外せば月5,000円浮く。でも、本当に外して大丈夫なのか? もし入院して何百万も請求されたら、我が家は一発で破産してしまうのではないか。

妻の不安を払拭するため、そして何より自分自身を納得させるため、私は日本の公的医療保険について徹底的に調べ直しました。そこで立ちはだかった最強の味方が、「高額療養費制度」です。

名前くらいは聞いたことがありましたが、いざ自分ごととして調べてみると、これがとんでもなく優秀な制度だったのです。

「ママ、ちょっとこれ見て。日本の健康保険って、月の医療費の上限が決まってるらしいんだよ」 スマホの画面を見せながら私は説明しました。

高額療養費制度とは、月初めから終わりまでの1ヶ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、あとで払い戻される制度です。 一般的な40代会社員(標準報酬月額が28万円〜50万円の世帯)の場合、ひと月の自己負担限度額はだいたい「8万〜9万円程度」に収まるように設計されていました。

「えっ、じゃあもし手術して医療費が100万円かかったとしても、私たちが窓口で最終的に払うのは9万円くらいで済むってこと?」 「そういうこと。だから、盲腸で入院しようが、骨折で手術しようが、青天井でお金が飛んでいくわけじゃないんだよ」

がん治療でも本当に使えるの?私たちが調べた現実

ここで妻から鋭いツッコミが入ります。 「それは普通のケガとかでしょ? がんの治療とか、抗がん剤って何百万もかかるってテレビでやってたよ。それも対象なの?」

これは私も一番気になっていた点です。結論から言うと、私たちが恐れていた「がん治療」の大部分も、健康保険の適用範囲内であれば、しっかり高額療養費制度の対象になることが分かりました。

標準的ながんの手術や、厚生労働省が認可している抗がん剤治療、放射線治療などはすべて公的医療保険が適用されます。つまり、どれだけ高額な治療費になっても、基本的には月額9万円前後の負担で済むのです。(さらに、1年間に3回以上高額療養費の支給を受けると、4回目からは「多数回該当」となり、上限額がさらに下がって4万4,400円になるという神ルールまでありました)

「なんだ……じゃあ、なんで私たちはあんなに怯えて、手厚い特約に毎月何千円も払ってたの?」 妻の表情から、少しずつ不安が消えていくのが分かりました。

注意!公的保険の「対象外」になる落とし穴(差額ベッド代など)

しかし、「じゃあ保険なんて全部いらないじゃん!」と極端に走るのは、サルヂエファミリーの過去の失敗パターンです。安物買いの銭失いや、知識不足での見切り発車で何度も痛い目を見てきました。

調べていくうちに、高額療養費制度にも「対象外」となるリアルな落とし穴があることが分かりました。読者の皆さんも、ここは絶対に知っておくべきポイントです。

私たちが「これは自腹になるのか」と警戒した主な項目は以下の3つです。

  1. 差額ベッド代(個室料など) 「大部屋は嫌だから個室がいい」と希望した場合の追加料金は、全額自己負担です。1日あたり数千円〜1万円以上かかることもあり、長引けば痛手になります。

  2. 入院中の食事代と日用品代 病院食の費用(1食460円程度)や、パジャマのレンタル代、テレビカード代などは制度の対象外でした。

  3. 先進医療の技術料 公的医療保険の対象になっていない最先端の治療を受けた場合、その技術料は全額自己負担になります。

「なるほど、治療費自体は国の制度で守られてるけど、個室代や食事代はどうしても手出しが必要になるってことね」 「そう。だから、入院したら『手出しゼロ』というわけにはいかない。でも、それをカバーするために毎月5,000円の特約を掛け続けるのが正解なのか、それともその分を貯蓄や投資に回して備えるのが正解なのか。ここからが勝負だな」

私たちはこの事実をテーブルに並べ、いよいよ自分たちの「特約」をどうするかの最終判断に入ることにしました。

我が家が「特約の解約」を決断した生々しい理由

さよなら、入院一時金特約

「高額療養費制度があるから医療費のベースは守られている。差額ベッド代や食事代は手出しになる。……で、私たちはどうする?」

夫婦の家族会議は佳境に入りました。まずメスを入れたのが「入院一時金特約」です。これは、日帰りや1泊でも入院したら、まとまったお金(我が家の場合は5万円)が受け取れるというもの。

「これ、入院したら絶対もらえるんだから、お小遣いみたいで良くない?」と最初は妻も乗り気でした。しかし、私は気になって厚生労働省の「患者調査」というデータを調べてみたんです。

「ママ、ちょっとこれ見て。今の時代、入院ってめちゃくちゃ短いらしいよ。盲腸(虫垂炎)でも平均で4〜5日、長いと思われがちな胃がんの手術でも2週間弱で退院させられちゃうんだって」

つまり、昔のように「病院のベッドで何ヶ月も療養する」というケースは激減しているのです。入院日数が短ければ、当然その間の食事代や日用品代の自己負担も数千円〜数万円レベルで収まります。

「たしかに、数日間の入院費用のために、毎月コツコツ特約の保険料を払い続けるのって、なんだか『自分のお金を保険会社に預けて、ちょっと減ってから返してもらってる』だけな気がしてきた……」

妻のこの一言が決定打となり、私たちは「数万円の手出しなら、自分たちの貯金からサッと払えばいい」と割り切ることにしました。さよなら、入院一時金特約。

迷った末に外した、特定治療支援特約

一番夫婦で揉めたのが「特定治療支援特約」です。いわゆる「がんと診断されたら一時金がドカンと出る」「特定の抗がん剤治療を受けたら毎月給付金が出る」という、重い病気に備えるための手厚いお守りです。

「パパががんになったら、仕事も休むかもしれないし、やっぱりこれは残しておいた方が……」 直感派の妻が、不安そうな顔で訴えます。私も、この特約を外すのにはかなり勇気がいりました。

しかし、冷静に数字を並べてみました。 我が家には現在、夫婦でコツコツ貯めた「生活防衛資金(何かあったときのために絶対に手をつけない現金貯金)」が、生活費の半年分ほどあります。

「もし俺ががんになって、高額療養費制度を使って毎月の治療費上限が約9万円かかったとする。それにプラスして、差額ベッド代とか交通費が月に数万円かかったとしても、半年や1年なら、今ある貯金でなんとかカバーできないかな?」

保険の本質は「確率はおきにくいけれど、起きたら一発で家計が破綻するリスクに備えるもの」です。医療費については、高額療養費制度と今の貯金という「二重の盾」があれば、家計が即座にショートすることは防げると判断しました。

「万が一」の不安をどう乗り越えたか(ママとの家族会議)

「でもさ、貯金が減るのは怖いよ……」 妻の不安はもっともです。誰だって、頑張って貯めたお金が医療費で消えていくのは見たくありません。

そこで私は、発想を逆転させてみました。 「この特約を維持するために、毎年6万円払うよね。10年で60万円。もしこの10年間、俺が一度もがんにならなかったら、この60万円は掛け捨てだから戻ってこない。それなら、この年間6万円を『我が家の医療費・未来ファンド』としてNISAで運用して、もし病気になったらそこから払う。病気にならなかったら、そのまま老後資金や子どもたちの教育費として使える。どっちが我が家にとって嬉しい?」

「……病気にならなくてもお金が残る方が、絶対にいい」

手元に「現金や運用資産」を持っておくことは、最強の保険です。がんにならなくても、車が壊れたときや、子どもの学費が足りないときなど、あらゆるピンチに対応できる「汎用性の高いお守り」になるからです。

こうして私たちは、長年ズルズルと払い続けていた「特約」たちを、ついに解約する決断を下しました。

すべて解約したわけじゃない!逆に「残した」保障のリアル

これだけは死守した「死亡保障」とその理由

ここまでの話を読むと、「サルヂエファミリーは極端だな! 保険を全部解約して丸腰になったのか!」と思われるかもしれません。 でも、安心してください。私たちは決してギャンブラーではありません。安物買いの銭失いで何度も痛い目を見てきたからこそ、「絶対に削ってはいけない防衛線」はちゃんと残しています。

それが、私の「死亡保障(掛け捨ての収入保障保険)」です。 これだけは、特約をバッサリ切ったあとも、しっかりと残しました。むしろ、ここの見直しは一切考えませんでした。

理由はとてもシンプルです。 「高額療養費制度は『医療費』は安くしてくれても、『失われたお給料』までは補填してくれないから」です。

小学生の子ども2人、重くのしかかる教育費リスクへの備え

もし明日、私に万が一のことがあって命を落としたら。 遺族年金などの公的サポートはありますが、それだけで今の生活水準を維持し、小学生の息子2人を大学まで行かせることは不可能です。

「パパがいなくなったら、いくら私たちが節約して高額療養費制度を使っても、数千万円単位でドカンとお金が足りなくなる。今の貯金じゃ到底ムリだよ」

妻の言う通りです。これこそが、先ほども触れた「発生確率は低いけれど、起きたら一発で家計が完全に破綻するリスク」です。

貯金やNISA(投資)の最大の弱点は、「目標額に達するまでに『時間』がかかる」こと。 明日急に2,000万円が必要になっても、投資ではどうにもなりません。しかし、保険なら「今日加入して明日亡くなっても、満額の2,000万円が支払われる」という、時間を買う魔法のような機能を持っています。

だからこそ、我が家は「医療費という中規模のリスクは貯金や国の制度でカバーし、父親の死亡という致命的なリスクは生命保険でカバーする」という、メリハリの効いた家計管理にシフトしたのです。

特約という贅肉をそぎ落とし、本当に必要な筋肉(死亡保障)だけを残したことで、保険証券を見るたびに感じていた「よく分からない不安」は、いつの間にか「納得感のある安心」へと変わっていました。

浮いた月5,000円をNISA(オルカン)へ全振りした結果

年間6万円の重み!消費から資産へのシフト

「よし、これで毎月5,000円の固定費削減に成功したね! 今月は浮いたお金でちょっと良いお肉でも買っちゃう?」 特約の解約手続きを終え、スマホを置いた妻が嬉しそうに提案してきました。

過去の我が家なら、間違いなく「解約記念パーティーだ!」と外食に消えていたでしょう。しかし、ここで生活レベルを上げてしまっては、安物買いの銭失いならぬ「節約疲れの無駄遣い」になってしまいます。

「いや、ちょっと待って。この5,000円は『未来の医療費や教育費に備えるファンド』として残したお金だよね。生活費の口座に入れたままにしておくと、絶対になんとなく使って消えちゃうよ」

そこで私たちは、この浮いた月5,000円を、そっくりそのまま「NISA(少額投資非課税制度)」の積立に上乗せすることに決めました。 銘柄は、これまでもコツコツ積み立ててきた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称オルカンです。

「月5,000円って聞くとちょっとした飲み代1回分だけど、年間で6万円だよ。これを保険会社に払い続けるか、自分たちの資産として積み上げるか。この差はめちゃくちゃデカいはず」

15年後の未来予想図(利回り別シミュレーションに夫婦で歓喜)

理屈派の私は、すかさず金融庁のシミュレーションサイトを開き、妻に画面を見せました。 我が家の息子たちが大学を卒業し、私たち夫婦の教育費負担が一段落する目安である「15年後」に、この毎月5,000円がどうなっているかを計算してみたのです。

「15年間、毎月5,000円を貯金箱に入れたら、元本は90万円になる。でも、これをNISAで運用した場合、仮にこんな利回りになったらどうなると思う?」

  • 利回り3%で運用できた場合:約115万円(+25万円)

  • 利回り5%で運用できた場合:約133万円(+43万円)

  • 利回り7%で運用できた場合:約158万円(+68万円)

「えっ……待って。一番現実的そうな5%でも、90万円が133万円になるの? 40万円以上も増えるってこと!?」 妻の目の色が変わりました。

「そう。もし俺がこの15年間で一度も大きな病気をしなかったら、保険の場合は掛け捨てでゼロになる。でもNISAなら、健康でいたご褒美みたいに130万円以上の資産が手元に残る可能性が高いんだよ」

もちろん投資に絶対はなく、元本割れのリスクはあります。しかし、世界中の企業に分散投資するオルカンを15年という長期で積み立てれば、そのリスクはかなり抑えられます。

「もし病気になったら、この増えたお金から高額療養費制度の自己負担分(月約9万円)を払えばいいんだね。……なんだか、こっちの方がずっと安心できるかも!」

特約という「見えない不安への掛け捨て」をやめ、NISAという「見える資産への積み上げ」に全振りした瞬間、我が家の家計に対するモヤモヤは完全に晴れ渡りました。

まとめ:我が家は「不安を買う」より「未来の選択肢を増やす」道を選んだ

今回、私たちサルヂエファミリーは、保険証券とにらめっこしながら、夫婦で何度も話し合いを重ねました。

「万が一の備え」という言葉は、親である私たちの責任感と恐怖心をチクチクと刺激してきます。保険営業の方も、そこを優しく突いてくるプロです。 しかし、思考停止で特約をてんこ盛りにすることは、本当の安心ではありませんでした。それはただ「家計の首を絞めるだけの麻酔」だったのです。

今回の体当たり検証を通じて、私たちは一つの結論にたどり着きました。

  • 保険は、起きる確率は低いが、起きたら家計が即死するリスク(死亡など)から「不安を減らす」ためのもの。

  • 投資(資産形成)は、時間とともに確実にやってくるイベント(老後や教育費)に対して「未来の選択肢を増やす」ためのもの。

高額療養費制度という日本の強力なセーフティネットを理解し、医療費という「貯金でなんとかできるリスク」に対する過剰な保険を削ぎ落とす。そして、浮いたお金を未来の選択肢を増やすための投資(NISA)に回す。

これが、40代・子育て真っ只中である私たち夫婦が、リアルな数字と向き合った末に見つけた「我が家にとっての正解」です。

もし今、あなたが「毎月の保険料、ちょっと高い気がするな」「NISAを始めたいけど、回すお金がないな」と悩んでいるなら。 今夜、お子さんが寝静まったあとにでも、クローゼットの奥にある保険証券を引っ張り出してみてください。そして、夫婦で「これ、本当に全部必要なのかな?」と話し合ってみることをおすすめします。

月々数千円の「謎の特約」を外すという小さな決断が、15年後、あなたの家族に大きな笑顔と選択肢をもたらしてくれるはずです。

-お金を整える(家計の最適化)