お金を活かす(住まいと資産の活用)

マンション売却から戸建て購入までのスケジュール完全ガイド|資金計画で失敗しない考え方

「今のマンションを売って、理想の戸建てに住み替えたい」そう考えて調べてみると、まずぶつかるのが「売るのが先か、買うのが先か」という大きな壁です。

SNSや口コミサイトでも「先に売らないと資金計画が狂う」「先に買わないと住む場所がなくなる」といった相反する意見が飛び交い、結局どう動くのが正解なのか分からず、立ち止まってしまう声が目立ちます。住み替えは「不動産の売却」と「住宅の購入」という、人生でも最大級のイベントを同時にこなす必要があるため、仕組みが複雑で判断が難しいポイントです。

不慣れな手続きや大きなお金が動くプレッシャーから、不動産会社の担当者に言われるがまま進めてしまい、後から「もっと慎重に計画すればよかった」と後悔するケースも存在します。本記事では、マンション売却から戸建て購入までの標準的なスケジュールを整理し、損を避ける基準とより良い選択肢を整理します。あなたの状況に合った「最適な進め方」を見つけるためのガイドとしてご活用ください。


マンション売却から戸建て購入までの全体スケジュール感

マンションから戸建てへの住み替えは、単なる引っ越しとは異なり、検討開始から新居への入居まで早くて4ヶ月、一般的には6ヶ月〜1年程度の期間がかかる長期プロジェクトです。まずは全体像を把握し、「いつまでに何をすべきか」を時間軸で捉えることから始めましょう。

住み替え全体はどれくらいの期間がかかる?

住み替えにかかる期間は、売却のしやすさや理想の物件に出会えるタイミングによって大きく変動します。

  • スムーズなケース:約4〜6ヶ月
    マンションがすぐに売れ、希望の戸建て(建売住宅など)がすぐに見つかった場合です。
  • 一般的なケース:約6ヶ月〜10ヶ月
    売却活動に3ヶ月、購入物件の選定と手続きに3〜4ヶ月を要する標準的な期間です。
  • 時間がかかるケース:1年以上
    マンションの売り出し価格が高すぎて買い手がつかない場合や、注文住宅をゼロから建てる場合などは、1年を超えることも珍しくありません。

大切なのは、「○月までに引っ越したい」という目標から逆算して、少なくとも半年前には具体的なアクションを起こしておくことです。

売却・購入・引き渡しの基本的な流れ

住み替えの工程は、大きく分けて以下の5つのステップに分解できます。

  1. 準備・査定(1〜2週間):今の家がいくらで売れるか「査定」を依頼し、ローンの残債を確認します。あわせて、新居への希望条件を整理します。
  2. 売却活動・物件探し(1〜4ヶ月):不動産会社と媒介契約を結び、マンションを売り出します。並行して、購入したい戸建ての内覧を進めます。
  3. 売買契約(1週間〜1ヶ月):マンションの買い手が見つかったら売却契約を結び、新居が決まれば購入契約を結びます。
  4. 住宅ローン審査・決済準備(1ヶ月〜2ヶ月):新居のためのローン審査を通し、火災保険の加入や引っ越しの見積もりなど、引き渡しに向けた準備を行います。
  5. 引き渡し・入居:売却代金を受け取って今のローンの完済手続きを行い、同時に新居の代金を支払って鍵を受け取ります。

「思っているより時間がかかる」注意ポイント

スケジュールを立てる際に、多くの人が見落としがちなポイントが3つあります。

  • 書類の準備と確認:権利証(登記識別情報)の紛失チェックや、土地の境界確認(戸建ての場合)など、書類の不備で手続きがストップすることがあります。
  • 買い手の住宅ローン審査待ち:マンションの買い手が見つかっても、その方のローン審査に1ヶ月ほどかかる場合があります。審査が通らなければ白紙に戻るため、余裕を持った日程調整が必要です。
  • リフォームや追加工事の期間:中古の戸建てを購入する場合、入居前のクリーニングやリフォームに数週間から1ヶ月程度かかるケースがあります。

売却先行・購入先行・同時進行の3パターンを整理する

住み替えにおいて、最も頭を悩ませるのが「どの順番で手続きを進めるか」です。これには大きく分けて「売却先行」「購入先行」「同時進行」の3つの型があります。ご自身の家計状況や、どれくらいリスクを許容できるかによって最適な選択肢は異なります。

売却先行のメリット・デメリット

今のマンションを売ってから、新居を探す方法です。

メリット デメリット
売却額が確定してから新居を探せるため、資金計画が狂いにくい。 納得いく新居が見つからない場合、仮住まいが必要になる
「いつまでに売らないと」という焦りがないため、納得いく価格で売りやすい。 引っ越しが2回必要になり、費用と手間がかさむ。

【こんな人におすすめ】住宅ローンの残債が多い人、売却代金を新居の頭金に充てたい人、資金的にゆとりを持って進めたい慎重派の人に向いています。

購入先行のメリット・デメリット

理想の戸建てを先に購入し、後からマンションを売却する方法です。

メリット デメリット
時間をかけて納得のいく物件探しができる マンションが売れるまで、今のローンと新居のローンの「ダブルローン」になる可能性がある。
仮住まいが不要で、引っ越しが1回で済む。 「早く売らないと」という焦りから、マンションを相場より安く売ってしまうリスクがある。

【こんな人におすすめ】資金に余裕があり、一時的なダブルローンに耐えられる人、人気エリアなど物件の奪い合いが激しい場所で探している人に向いています。

同時進行は本当に現実的か?

「マンションの売却」と「戸建ての購入」の決済(お金のやり取り)を同日に行うのが同時進行です。理想的ではありますが、難易度は非常に高いといえます。売却の契約日と購入の引き渡し日を、不動産会社を介してミリ単位で調整する必要があるからです。ただし、同じ不動産会社に売却と購入の両方を依頼することで、調整の精度を高めることは可能です。

家族・資金・リスクで見る選び方

どれを選ぶべきか迷った際は、以下の3つの基準で判断しましょう。

  1. 資金の余裕度:手元資金(貯金)が少なく、売却代金がないと次の家が買えないなら、迷わず「売却先行」です。
  2. 物件へのこだわり:「このエリアのこの条件でないと絶対に嫌だ」という強い希望があるなら、チャンスを逃さない「購入先行」が向いています。
  3. 家族の負担:小さなお子さんがいる、あるいは共働きで多忙な場合、仮住まいは想像以上に負担となります。この場合は「購入先行」か、綿密な計画に基づいた「売却先行(引き渡し猶予付き)」を検討することになります。

スケジュールとセットで考える資金計画の基本

住み替えの資金計画で最も多い失敗は、「マンションが売れた金額=次に使えるお金」と勘違いしてしまうことです。実際には、売るためにも買うためにも、さまざまな諸経費が発生します。

住み替え時に必要なお金の全体像

住み替えには、物件価格以外に「諸経費」と呼ばれるコストがかかります。これらは基本的に現金で用意する必要があります。

  • 売却時の費用:仲介手数料(売却価格の3%+6万円+税が上限)、印紙税、抵当権抹消登記費用など。
  • 購入時の費用:仲介手数料、登録免許税、住宅ローン事務手数料、火災保険料、不動産取得税など。

目安として、売却時には価格の4〜6%、購入時には価格の6〜9%程度の諸経費を見込んでおくのが堅実です。

自己資金・売却益・ローンの関係

住み替えの予算を組む際は、以下の「3つの数字」をパズルのように組み合わせる必要があります。

  1. 現在のローンの残り(残債):これを上回る金額で売れないと、手出しの現金で補填しなければなりません。
  2. 売却予想価格:査定額から諸経費とローン残債を引いたものが、新居に使える「売却益」です。
  3. 新しく借りるローン:今の年齢や年収から無理なく返せる額を算出します。

計算式:新居の購入予算
(売却価格 - 諸経費 - ローン残債) + 自己資金 + 新規住宅ローン = 購入可能額

「売却価格が未確定」な状態での考え方

マンションがいくらで売れるか分からない段階で新居を探す場合、希望価格ではなく「成約見込み価格」でシミュレーションを行いましょう。もし売却価格が想定を下回った場合に、新居のグレードを下げるのか、自己資金を追加するのかといった「プランB」を家族で話し合っておくことが、精神的な安定に繋がります。


ダブルローン・仮住まいはどこまで想定すべきか?

スケジュール調整がうまくいかない場合や、どうしても先に新居を押さえたい場合に浮上するのが「ダブルローン」と「仮住まい」の問題です。

ダブルローンが発生するケースと審査の壁

ダブルローンとは、今のマンションと新しい戸建てのローンの返済が重なる状態を指します。主に購入先行で発生しますが、銀行による「二軒分の返済能力があるか」という審査は非常に厳格です。審査が通らない場合は、売却契約が済んでいることが新居のローン実行条件になるのが一般的です。

家計に与えるインパクトの現実

仮にダブルローンが組めたとしても、毎月の返済額は倍増します。例えば各12〜15万円の返済があれば、月27万円以上の支出となります。これにマンションの管理費等も加わるため、売却が長引くほど手元の資金が削られるリスクを理解しておく必要があります。

仮住まいが必要になるパターンとその費用

売却先行では、新居が見つかるまでの「仮住まい」が発生することがあります。賃貸の初期費用、家賃、そして2回分の引っ越し費用を合わせると、100万円単位の出費になることも珍しくありません。金銭的コストだけでなく、短期間に2度引っ越す体力・精神的負担も考慮すべきポイントです。


よくある失敗パターンと回避するための判断軸

一つの判断ミスが大きな損失につながる住み替えにおいて、代表的な失敗パターンをあらかじめ知っておくことは最大の防御策となります。

売却価格を楽観視しすぎる

不動産会社が提示する査定額はあくまで「予想」です。高値査定を鵜呑みにして予算を組むと、売れなかった際に新居のローンが組めなくなるリスクがあります。複数の会社から査定を取り、保守的な額を基準に計画を立てることが重要です。

スケジュールを詰めすぎる

「子どもの入学までに」と期限を厳密に決めすぎると、焦りから不当な値下げに応じたり、理想とは程遠い戸建てを契約したりしがちです。スケジュールには最低でも2ヶ月ほどの余白を持たせ、最悪の場合は仮住まいも辞さないという構えが冷静な判断を生みます。

「最悪ケース」を見ないことが最大の失敗

「マンションが半年売れない」「ローン審査が通らない」といった最悪の事態を想定していないことが最大の失敗要因です。「3ヶ月売れなければ価格を下げる」といった撤退ラインや代替案を最初に決めておきましょう。


我が家に合ったスケジュールと資金計画を描くために

最後に、納得のいく住み替えを実現するための具体的な準備を整えましょう。

まず整理すべき3つの数字

動き出す前に、以下の数字を必ずメモしてください。

  • 住宅ローンの正確な残高:1円単位まで確認。
  • 現在の貯蓄額(動かせるお金):諸経費や予備費に充てられる額。
  • 毎月の返済限界額:生活を壊さずに支払える上限。

家族で共有すべきポイント

「時期」「お金」「場所」のうち、何を最優先にするかを家族で共有してください。優先順位が明確であれば、売却先行か購入先行かという選択も自然と決まります。

焦らないためのチェックリスト

  • [ ] 近隣マンションの成約相場を自分で調べたか?
  • [ ] 売却・購入それぞれの諸経費を予算に含めたか?
  • [ ] 予定通りにいかなかった時の「予備プラン」があるか?

マンション売却から戸建て購入への住み替えはハードルが高いイベントですが、要素を分解して整理すれば決して恐れることはありません。まずはご自身の状況を客観的な数字に落とし込むことから始めてみてください。


【出典】

-お金を活かす(住まいと資産の活用)