「NISA口座の開設まではできたけれど、いざ商品を選ぼうとしたら画面に並ぶカタカナ用語で手が止まってしまった…」
このような相談が、家計改善の現場では非常に多く寄せられます。特に銀行でNISAを始めた方の中には、「窓口で勧められるままに決めていいのか不安」「ネットで見かける『オルカン』はここでも買えるの?」と悩むケースが目立ちます。
「とりあえずランキング上位を買えば安心」と思いがちですが、実は自分の目的と合わない商品を選んでしまい、数年後に「もっと手数料が安いものがあったのに」と後悔するパターンも少なくありません。
本記事では、三菱UFJ銀行のNISA口座を利用中、または検討中の方向けに、「損をしないための銘柄選びの基準」と「初心者におすすめの具体的な選択肢」を整理します。難しい金融理論は抜きにして、シンプルに「何を選べばどうなるか」を解説していきます。
三菱UFJ銀行NISAの銘柄ラインナップ|できること・できないこと
まずは、三菱UFJ銀行のNISAで「何が買えて、何が買えないのか」を正しく把握しましょう。ここを誤解していると、ネット上の「おすすめランキング(証券会社版)」を参考にしてしまい、探している商品が見つからないという落とし穴にハマります。
銀行NISAの主役は「投資信託」
結論から言えば、三菱UFJ銀行(銀行本体)のNISA口座で購入できる商品は、基本的に「投資信託(ファンド)」です。
投資信託とは、運用のプロにお金を預けて、代わりに株や債券を買ってもらう「詰め合わせパック」のようなものです。
読者の皆様からよく聞かれる「NISAで株を買いたい」という声ですが、実は銀行のNISA口座では、特定の企業(トヨタ自動車や任天堂など)の株を直接買うことはできません。
- 銀行のNISA: プロが選んだ「企業の株の詰め合わせ(投資信託)」を買う場所
- 証券会社のNISA: 投資信託に加え、「個別の企業の株」も自分で買える場所
まずは「ここでは詰め合わせパック(投資信託)を選ぶんだな」と理解しておけばOKです。
ネット証券との最大の違い(個別株・ETFの扱い)
SNSやYouTubeで「NISAで高配当株を買おう」「ETF(上場投資信託)で配当金生活」といった情報を見かけることがあるかもしれません。しかし、これらは主に「ネット証券(SBI証券や楽天証券など)」を前提とした情報です。
三菱UFJ銀行のNISA口座では、原則として以下の商品は購入できません。
- 個別株式(特定の企業の株)
- ETF(株式市場に上場している投資信託)
- REIT(不動産投資信託の個別銘柄)
「えっ、選択肢が少ないの?」と感じるかもしれませんが、これから資産形成を始める初心者にとっては、これが逆にメリットになる側面があります。
選択肢が「厳選されている」メリット
ネット証券は数千種類以上の商品があり、選択肢が無限にある反面、「手数料が高すぎる商品」や「リスクが高すぎる商品」も混ざっています。知識がないまま飛び込むと、宝探しのような難しさがあります。
一方で、三菱UFJ銀行のようなメガバンクのラインナップは、銀行側がある程度フィルターをかけて商品を厳選しています。特に近年は、金融庁の基準を満たした「低コストな優良ファンド」がしっかりとラインナップに含まれています。
- 迷い疲れない: 選択肢が絞られているため、比較検討が楽。
- 王道がある: 人気の「eMAXIS Slimシリーズ」など、低コストの定番商品はしっかり用意されている。
「種類が多すぎて選べない」という悩みを持つ方にとって、この環境はむしろ「失敗しにくい環境」と言えるでしょう。
参考:NISA(ニーサ):少額投資非課税制度 | 三菱UFJ銀行
初心者の王道|「つみたて投資枠」で選びたい定番2選
では、具体的にどの商品を選べばいいのでしょうか。
将来の資産形成(老後資金や教育資金)を目的とするなら、奇をてらった商品を選ぶ必要はありません。三菱UFJ銀行のNISAラインナップの中で、多くの個人投資家に選ばれている「2つの王道」を紹介します。
迷ったらこれ:全世界株式型(オール・カントリー)
最も無難で、かつプロも推奨することが多いのが「全世界株式(オール・カントリー)」と呼ばれるタイプです。三菱UFJ銀行では、業界最低水準のコストを目指す『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』が取り扱われています。通称「オルカン」と呼ばれます。
- 特徴: 日本を含む、世界中の先進国・新興国の株式に丸ごと投資します。
- メリット: 「どの国が成長するか」を予想する必要がありません。アメリカがダメでも他の国がカバーするなど、地域のリスク分散が自動で行われます。
- こんな人向け: 「とにかくほったらかしにしたい」「細かい調整は面倒」「世界経済全体の成長に乗りたい」
これ一本を選んでおけば、世界中の企業に分散投資しているのと同じ効果が得られます。「ハズレを引きたくない」という心理に最も適した選択肢です。
成長性重視:米国株式型(S&P500)
もう一つの人気候補が、アメリカの代表的な企業500社に集中して投資する「米国株式(S&P500)」タイプです。こちらも『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』がラインナップにあります。
- 特徴: Apple、Microsoft、Amazonなど、世界を牽引する米国企業に投資します。
- メリット: 過去の実績を見ると、全世界株式よりも高いリターンを出している期間が長いです。
- リスク: アメリカ経済が低迷した場合、資産へのダメージが全世界株より大きくなる可能性があります。
- こんな人向け: 「アメリカ経済の強さを信じている」「多少のリスクをとっても、より高い利益を目指したい」
どっちがいい?選ぶときのシンプルな基準
「オルカン」と「S&P500」、どちらを選べばいいか迷う方への判断基準は非常にシンプルです。
💡 選び方のヒント
- 安心感重視なら → 『全世界株式(オール・カントリー)』
「20年後、アメリカが1位かどうかなんて分からない」と思うならこちら。カントリーリスク(国の偏り)を消せます。- 成長期待なら → 『米国株式(S&P500)』
「今後もITやAIの中心はアメリカだろう」と考えるならこちら。
どちらを選んでも、三菱UFJ銀行で扱っている『eMAXIS Slim』シリーズであれば、手数料(信託報酬)は非常に安く設定されています。銀行だからといって高い手数料を取られる心配がないのは、利用者にとって大きな安心材料です。まずはこのどちらか一つを軸に検討することをおすすめします。
参考:eMAXIS Slim(イーマクシス スリム) | 三菱UFJアセットマネジメント
「成長投資枠」はどう使う?銀行NISAでの賢い活用法
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがありますが、名前の響きから「成長投資枠では、何か特別な高いリターンを目指す商品を買わないといけないの?」と身構えてしまう方がいます。
しかし、銀行のNISAにおいて、この枠の使い方は実はとてもシンプルです。無理に攻めた投資をする必要はありません。
成長投資枠で「できること」と「買えないもの」
まず制度のおさらいですが、成長投資枠はつみたて投資枠よりも「選べる商品の幅が広い」のが特徴です。しかし、前述の通り三菱UFJ銀行のNISA口座では、成長投資枠であっても「個別株(トヨタやソニーなど)」は買えません。
では何が違うのかというと、つみたて投資枠の対象になっていない「ちょっと特殊な投資信託」や「分配金が出るタイプの投資信託」などが選べるようになります。
とはいえ、資産形成の基本である「長期・分散・積立」を考えるなら、選択肢が広がったからといって、必ずしもそれらを選ぶ必要はありません。
基本戦略:つみたて投資枠と同じ銘柄でOK
最も賢く、管理が楽な使い方は、「つみたて投資枠と同じ銘柄(オルカンやS&P500)を、成長投資枠でも買う」ことです。
「えっ、枠が違うのに同じものを買っていいの?」と驚かれることがありますが、全く問題ありません。むしろ、以下のメリットがあります。
- 管理がシンプル: 複数の商品を持つと「こっちは上がった、こっちは下がった」と一喜一憂しがちですが、1本ならほったらかしにできます。
- 枠を無駄にしない: つみたて投資枠(年間120万円)の上限を超える資金を入れたい場合、成長投資枠(年間240万円)を使えば、合計で最大360万円まで非課税で投資できます。
「成長投資枠だから」といって、リスクの高い商品や中身のよく分からないテーマ型ファンドを無理に探す必要はありません。王道のインデックスファンドを、広い枠を使ってさらに買い増すための場所と考えましょう。
応用編:スポット購入(一括投資)の使いどき
成長投資枠の便利な機能として、「積立」だけでなく「一括購入(スポット購入)」ができる点があります。
つみたて投資枠はルール上、毎月の積立が基本ですが、成長投資枠なら好きなタイミングでまとまった金額を投資できます。
- ボーナスが入った時: 余裕資金をまとめて投資に回したい。
- 相場が大きく下がった時: 「今は安いからチャンスだ」と思って買い増ししたい。
このように、基本は積立でコツコツ続けつつ、臨時収入があった時だけ成長投資枠を使って同じ商品を買い増す、という使い方が、銀行NISAユーザーにとって最も使い勝手の良いスタイルと言えます。
「純金ファンド」などは買うべき?変わり種銘柄の考え方
三菱UFJ銀行のNISA商品ラインナップを見ていると、『三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)』のような商品が目に留まることがあります。「金(ゴールド)」と聞くと、なんだか価値がありそうで安心感がありますが、これらはどう位置づければよいのでしょうか。
なぜ銀行NISAには「金(ゴールド)」があるのか
金(ゴールド)は、古くから「有事の金」と呼ばれ、戦争や経済危機などで株価が暴落した時に、逆に価格が上がりやすい性質を持っています。
銀行がこうした商品をラインナップに入れているのは、お客様の資産を守るための「分散投資の選択肢」を提供するためです。「株だけだと怖い」という方が、資産の一部を金に換えておくことで、資産全体の値動きをマイルドにする効果が期待できます。
分散投資としてのメリット・デメリット
では、NISAで金を積極的に買うべきかというと、初心者には注意点もあります。
- メリット(守り): 株価が下がった時のクッション役になる可能性があります。インフレ(物価上昇)にも強い資産です。
- デメリット(生まない): 金そのものは、企業の株と違って「利益」を生み出しません。持っているだけで配当金や利息がもらえるわけではないのです。あくまで「価格が上がるのを待つ」だけの商品です。
- コスト(信託報酬): 一般的に、インデックスファンド(オルカンなど)に比べて、純金ファンドなどのコモディティ商品は手数料(信託報酬)がやや高めに設定されていることが多いです。
初心者が手を出す前のチェックポイント
もし純金ファンドなどを検討するなら、以下の基準を参考にしてください。
- メインにはしない: 資産の全部を金にするのはおすすめしません。あくまで資産全体の「5%〜10%程度」に留めるのがセオリーです。
- コストを確認する: 年間の維持コスト(信託報酬)がいくらか、必ず目論見書で確認しましょう。
- まずは王道から: まだ「オルカン」や「S&P500」などの積立が十分でないなら、まずはそちらを優先しましょう。金は「資産形成がある程度進んでから、守りを固めるためのオプション」と考えるのが無難です。
三菱UFJ銀行NISAで銘柄を選ぶときの注意点
ここまで「おすすめ」を紹介してきましたが、逆に「選んではいけないもの」や「やってはいけない選び方」もあります。銀行の窓口やウェブサイトを見ていると、どうしても魅力的に見える言葉が並んでいますが、長期投資の成功には冷静な判断が必要です。
「信託報酬(コスト)」は必ずチェックする
投資信託には、持っている間ずっとかかり続ける手数料があります。これを「信託報酬(しんたくほうしゅう)」と呼びます。
買う時には無料(ノーロード)でも、この信託報酬が高いと、ボディブローのように利益を削っていきます。
- インデックスファンド(オルカンなど): 年率 0.05% 〜 0.2% 程度
- アクティブファンド(銀行のおすすめなど): 年率 1.0% 〜 1.5% 程度
「たった1%の違い?」と思うかもしれませんが、投資の世界で1%の差は巨大です。仮に30年間運用した場合、最終的な手取り額に数十万円〜百万円単位の差が出ることがあります。
三菱UFJ銀行のNISA画面で商品詳細を見る際は、必ず「信託報酬」の欄を確認し、できるだけ数字が低いもの(0.2%以下が目安)を選ぶのが鉄則です。
ランキング上位でも「複雑な商品」は避ける
銀行のサイトには「売れ筋ランキング」や「アクセスランキング」が掲載されていますが、これを鵜呑みにするのは危険です。
ランキング上位には、その時たまたま成績が良かった商品や、銀行側がキャンペーンで力を入れて販売した商品が入ることがよくあります。
特に「AI活用」「ロボット関連」「〇〇テーマ株」といった流行りの言葉がついたファンドは要注意です。流行が去れば価格が低迷し、高い手数料だけ払い続けることになりかねません。
ランキングはあくまで参考程度にし、地味でも実績のある「全世界株式」や「米国株式」を選ぶ方が、20年後の後悔は少ないでしょう。
途中で銘柄を変えたくなったらどうする?
長く積立を続けていると、「やっぱりS&P500からオルカンに変えたい」と思う日が来るかもしれません。その際、やってはいけないのが「今持っている商品を全部売って、新しい商品に買い直す」ことです。
NISAの非課税枠は、一度売却してもその分の枠(年間投資枠)はすぐには復活しません(翌年以降に簿価分が復活する仕組みですが、年間上限があります)。
銘柄を変えたいときは、以下の手順が正解です。
- 古い銘柄: 売らずにそのまま持っておく(運用を続ける)。
- 新しい銘柄: 新たに積立設定を開始する。
- 古い銘柄の積立: 停止する。
こうすることで、過去に買った分の非課税メリットを捨てずに、新しい投資を始められます。
結論|三菱UFJ銀行NISAの銘柄選びは「シンプルでいい」
最後に本記事の要点をまとめます。三菱UFJ銀行でNISAを始める際、銘柄選びで悩みすぎる必要はありません。
初心者のための銘柄選び・まとめ
- 銀行NISAは「投資信託」が基本
個別株は買えませんが、それが逆に「変な商品」を買ってしまうリスクを防いでくれます。 - 初心者の正解は「オルカン」か「S&P500」
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』か『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』。このどちらかを選べば、プロ顔負けの分散投資が可能です。 - 成長投資枠も同じ銘柄でOK
無理に使い分ける必要はありません。枠を埋めるために、つみたて投資枠と同じ商品を買い増すのが一番管理しやすい方法です。
「もっと裏ワザがあるのでは?」と探したくなる気持ちは分かりますが、投資の世界では「退屈な王道商品」を「長く持ち続ける」ことこそが、最強の裏ワザです。
銘柄が決まれば、あとは設定をするだけです。一度設定してしまえば、あとは自動で銀行口座から引き落とされ、将来への資産が積み上がっていきます。
今日この場で「これにする」と決めて、最初の一歩を踏み出してみましょう。
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三菱UFJ銀行のNISA口座開設がまだの方や、具体的な操作方法を知りたい方は以下の記事も参考にしてください。