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「プラチナ投資はやめておけ」は本当か?金との違いと初心者が知るべき落とし穴を徹底解説

「将来のために資産形成を始めたいけれど、何を選べばいいか分からない」
そう考えて調べていると、「プラチナ投資はやめておけ」という強い言葉を目にして不安になる人が少なくありません。

特に、金(ゴールド)の価格が高騰する中で、「単価が安いプラチナの方が、これから上がるのでは?」と期待する初心者にとって、この警告は無視できないものです。

「プラチナは宝飾品としても高級なはずなのに、なぜ投資では評判が悪いの?」
「金と同じ貴金属なのに、何がそんなに違うの?」

このような疑問を持つ方に向けて、本記事では金融・貴金属市場のデータを基に、プラチナ投資のリスクとリターンを整理します。結論から言えば、プラチナは「投資してはいけない危険な商品」ではありません。しかし、「金(ゴールド)と同じ感覚で買うと失敗する商品」であることは事実です。

「やめておけ」と言われる本当の理由と、それでも投資する価値があるケースについて、損をしないための判断基準を解説します。

なぜ「プラチナ投資はやめておけ」と言われるのか?初心者がまず知るべき前提

「プラチナ投資はやめておけ」と言われる背景には、単なる感情論ではなく、明確な市場構造上の理由があります。まず押さえておくべきは、プラチナは金(ゴールド)のような「安定資産」ではなく、「ハイリスク・ハイリターンな投資商品」であるという点です。

初心者が陥りやすい失敗を防ぐために、市場で「やめておけ」と言われる主な理由を3つに整理しました。

「やめておけ」が生まれやすい3つの理由

投資経験者や専門家が、初心者にプラチナを推奨しない主な理由は以下の通りです。

  • 値動き(ボラティリティ)が非常に激しい
    金に比べて市場規模が小さいため、少しの資金流入やニュースで価格が乱高下しやすく、安定した積立には精神的な負担がかかりやすい傾向があります。
  • 「景気」に左右され、暴落のリスクがある
    金は「有事の安全資産」として不況時に買われますが、プラチナは産業用需要がメインのため、不況時には需要が減り、価格が暴落するリスクがあります。
  • 長期的な値上がりの一貫性が弱い
    過去20年のチャートを見ると、右肩上がりの金に対し、プラチナは長期的に低迷・横ばいの時期が長く、「持っていれば安心」とは言い切れない歴史があります。

金とプラチナの価格推移の違い

もっとも大きな誤解は、「金もプラチナも、同じように上がるだろう」という思い込みです。
実際の価格推移を見ると、両者の動きは決定的に異なります。

  • 金(ゴールド):
    2000年代以降、世界的な金融緩和や地政学リスクの高まりを受け、ほぼ一貫して右肩上がりを続けています。「守りの資産」として、世界中の政府や中央銀行も買い支えています。
  • プラチナ(白金):
    2008年のリーマンショック時には金よりも大きく暴落しました。その後も、主要な消費先である自動車産業の動向(ディーゼル車規制など)や南アフリカの鉱山情勢に振り回され、価格は乱高下を繰り返しています。

かつては「プラチナの方が金より高い」のが常識でしたが、2015年頃に価格が逆転しました。現在では「金>プラチナ」という価格差が定着しており、この逆転現象が「プラチナは終わった(やめておけ)」という印象を強めています。
出典:ニッセイ基礎研究所|プラチナと金の価格逆転が長期化

初心者が誤解しやすい“希少=値上がりする”の落とし穴

「でも、プラチナは金よりも採掘量が少なくて希少だから、いずれ価値が上がるはず」
そう考える人は多いですが、ここにも投資の落とし穴があります。

貴金属市場データによると、年間の生産量は金が約3,000トン以上であるのに対し、プラチナはわずか200トン弱。希少性という点では、確かにプラチナの方が圧倒的に上です。
出典:三菱UFJ信託銀行(WPICレポート)|プラチナ投資のエッセンス

しかし、投資の世界において価格を決めるのは「希少性」ではなく「需要と供給」です。いくら希少でも、欲しがる人(産業界や投資家)がいなければ価格は上がりません。

  • 金: 世界中の誰もが価値を認め、通貨の代わりとして需要が尽きない。
  • プラチナ: 自動車部品などの「工業需要」がメインであり、技術革新で不要になれば需要が消えるリスクがある。

この「需要の質の弱さ」こそが、希少なプラチナが金より安く放置されている根本的な理由なのです。

プラチナの値動きの特徴:金との違いから見える「リスクの正体」

「プラチナ投資はやめておけ」と言われる最大の要因は、その価格変動のメカニズムが金とは全く異なる点にあります。
両者は同じ「貴金属」ですが、市場での役割は対照的です。この違いを理解せずに投資を始めると、想定外のタイミングで資産を減らすリスクがあります。

プラチナは工業需要の影響が大きい=景気敏感資産

金とプラチナの決定的な違いは、「誰が何のために買っているか(需要の内訳)」です。

  • 金(ゴールド): 宝飾品や投資(資産保全)、中央銀行の保有が中心。「通貨」に近い性質を持ちます。
  • プラチナ: 全需要の約6割以上が工業用(主に自動車の排ガス浄化触媒など)です。

つまり、プラチナの価格は「世界経済の景気」に直結します。
景気が良く、自動車がたくさん売れ、工場が稼働している時は需要が高まり価格も上昇しやすい傾向があります。逆に、不景気になると真っ先に需要が落ち込みます。

これが、「プラチナは景気に左右される」と言われる理由です。

金は「安全資産」、プラチナは「景気循環資産」

投資の世界では、不況や戦争などの危機(有事)が起きると、株などのリスク資産が売られ、安全資産である金(ゴールド)が買われるのがセオリーです。「有事の金」という言葉がある通り、金は守りの資産として機能します。

一方で、プラチナは「有事の売り」になりやすい資産です。
危機が起きれば「これから不景気になる=自動車が売れなくなる=プラチナが不要になる」と連想されるため、株価と同じように下落する傾向があります。

「不安だから金を買う」のは正解ですが、「不安だからプラチナを買う」のは、市場の性質上、逆効果になる可能性が高いのです。

プラチナが暴落しやすい局面と、その背景

過去のデータを見ると、世界的な経済ショックの際にプラチナがどれほど大きく動いたかが分かります。

代表的な例が2008年のリーマンショックです。
当時、金も一時的に下落しましたが、その後すぐに回復し、最高値を更新していきました。
しかしプラチナは、世界的な景気後退による自動車販売の急減を受け、短期間で価格が60%近く大暴落しました。

また、2015年のフォルクスワーゲンによる排ガス不正問題(ディーゼルショック)の際も、ディーゼル車への逆風からプラチナ需要の減少が懸念され、価格は長期的な低迷に入りました。

このように、特定の産業(自動車)や世界景気に依存している点が、プラチナ投資における最大のリスク要因です。

それでもプラチナに投資する人がいる理由:メリットと魅力を冷静に整理する

ここまでリスクばかりを解説しましたが、それでも投資家の中には「あえてプラチナを買う」人が一定数います。
「やめておけ」と言われるリスク資産にあえて投資するのには、それなりの理由とメリットがあるからです。

金より値動きが大きい=大きなリターンを狙える

リスクとリターンは表裏一体です。
プラチナは市場規模が金よりも圧倒的に小さいため、投資マネーが流入すると価格が急騰しやすいという爆発力を持っています。

金がじわじわと安定的に値上がりするのに対し、プラチナは景気回復局面などで短期間に大きく上昇することがあります。
「安定よりも、短期〜中期で利益を狙いたい」と考える投資家にとって、このボラティリティ(価格変動の激しさ)は、リスクではなく魅力となります。

長期的には「割安」に買える時期が多い

現在、プラチナ価格は金価格よりも安い「逆転現象」が続いています。
歴史的に見れば、プラチナは金よりも高価な貴金属でした。「プラチナカード」が「ゴールドカード」より格上なのも、かつての価格差の名残です。

このため、「現在のプラチナ価格は本来の価値より安すぎる(売られすぎている)」と判断する投資家もいます。
将来的に水素エネルギーの活用(燃料電池車など)でプラチナ需要が再び高まれば、金との価格差が縮まり、大きな利益が出る可能性があります。

分散投資としてのプラチナの“適切な立ち位置”

投資の基本は分散です。
「資産の全てをプラチナにする」のは危険ですが、資産の一部に組み込むことは有効な戦略になり得ます。

  • 守りの資産: 預金、国債、金(ゴールド)
  • 攻めの資産: 株式、プラチナ

このように役割を分けて保有することで、景気が悪い時は金が守り、景気が良くなって金が伸び悩む時はプラチナが利益を出す、という補完関係を期待できます。
プラチナへの投資は、あくまで「資産全体のアクセント(スパイス)」として考えるのが、失敗しないコツと言えます。

やめておけと言われる代表的な投資方法(積立・ETF・現物)のリスク比較

プラチナ投資を始める際、多くの人が「純金積立」と同じ感覚で、銀行や地金商の「プラチナ積立」を選びがちです。しかし、投資手段の選び方を間違えると、手数料(コスト)負けして利益が出にくいという落とし穴があります。

代表的な3つの投資方法について、初心者が注意すべきリスクを整理します。

プラチナ積立の注意点(手数料コストと「やめとけ」の関連)

「月々3,000円から」など手軽に始められる積立サービスは人気ですが、コスト構造には注意が必要です。

  • 購入手数料: 多くのサービスで、購入金額の1.5%〜2.5%程度の手数料がかかります。
  • スプレッド(売買差額): これが最大の見えないコストです。プラチナは市場流通量が少ないため、金よりもスプレッド(買う価格と売る価格の差)が広く設定される傾向があります。

「買った瞬間に数%の含み損」からスタートすることになるため、短期間で解約すると、手数料とスプレッドの二重苦で元本割れする可能性が高くなります。これが「積立はやめておけ」と言われる一因です。

ETF(上場投資信託)のメリット・デメリット

株式投資のように、証券口座を使って市場で売買するのがETFです。

  • メリット: 信託報酬(管理手数料)が年率0.4〜0.5%程度と低く、株式同様にリアルタイムで売買できます。また、NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を活用できる銘柄もあります。
  • デメリット: 「現物」が手元に来るわけではないため、貴金属を持つ満足感は薄くなります(現物転換できない銘柄が多い)。

コスト重視でリターンを狙うなら、積立や現物よりもETFの方が合理的である場合が多いです。

現物(コイン・インゴット)購入の落とし穴

「プラチナのコインや延べ棒(インゴット)を手元に置きたい」というニーズは根強いですが、投資効率の面では最もハードルが高い方法です。

最大の敵は「スプレッドの広さ」です。
小売店や地金商で現物を買う場合、加工費や輸送費、保管コストが上乗せされるため、買取価格(売却額)との差が非常に大きくなります。
特に少額(5gや10gなど)のインゴットやコインの場合、手数料が割高になり、購入価格から20〜30%ほど値上がりしないと元が取れないケースさえあります。

どのタイプが初心者の失敗を生みやすいか

もっとも「やめておけ」に該当しやすいのは、「少額での現物購入」「短期目的での積立」です。

これらはコスト負担が重く、プラチナ価格が上昇しても手元に残る利益が削られてしまいます。「記念」として持つなら良いですが、「資産形成」として考えるなら、コストの低いETFや、長期前提での積立(コストの安いネット証券経由など)を選ぶのが賢明です。

初心者がプラチナ投資で失敗しないための判断基準(中立的ガイド)

ここまで解説した通り、プラチナは金とは異なる「リスク資産」です。
では、どのような人がプラチナを持つべきで、どのような人は避けるべきなのでしょうか。客観的な判断基準をガイドラインとしてまとめました。

まず金・プラチナの役割分担を理解する

資産形成における役割は明確です。

  • 金(ゴールド): 「守り」の要。資産の価値が減らないように防衛するための盾。
  • プラチナ: 「攻め」のスパイス。余裕資金を使って、プラスアルファの利益を狙うための剣。

初心者がいきなり「剣(プラチナ)」だけを持つのは危険です。まずは「盾(金や現預金)」を十分に固めた上で、剣を持つかどうかを検討するのが正しい順序です。

家計とリスク許容度からみる「そもそもプラチナは必要?」チェックリスト

以下の項目に当てはまらない場合、無理にプラチナへ手を出す必要はありません。

  • [ ] 生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)の貯金がある
  • [ ] つみたてNISAなどで、ベースとなる資産形成(全世界株など)ができている
  • [ ] すでに金(ゴールド)をある程度保有している、または金とセットで検討している
  • [ ] 価格が半分になっても生活に支障がない「完全な余剰資金」である

もし「生活費を増やしたい」「絶対に損をしたくない」という動機なら、プラチナは選択肢から外すべきです。

プラチナ比率は何%が妥当か?(一般論)

資産全体(ポートフォリオ)において、貴金属(コモディティ)が占める割合は5〜10%程度が目安と言われています。
その中で、さらにリスクの高いプラチナの割合は、資産全体の1〜3%程度、あるいは「保有する貴金属のうちの1〜2割」に留めるのが無難です。

例:

  • 資産全体: 500万円
  • 金(ゴールド): 30万円(約6%)
  • プラチナ: 5万円(約1%)

この程度の比率であれば、万が一プラチナが暴落しても家計へのダメージは軽微であり、逆に高騰した時には「お小遣い」的な利益を楽しめます。

逆に“絶対にやめておけ”に該当するケース

以下のような考えで検討している場合は、強く「やめておけ」と警告される対象になります。

  1. 「金が高すぎて買えないから、安いプラチナを買う」
    → 理由が価格だけならNGです。安いのには「需要が弱い」という理由があります。
  2. 「退職金を使って短期で増やしたい」
    → ボラティリティが高い商品を、老後資金の運用に充てるのはリスクが高すぎます。
  3. 「営業マンに勧められたから」
    → 仕組みを理解せずに買う金融商品は、すべてリスクです。

まとめ:プラチナ投資は「やめておけ」が正しい人・正しくない人の違い

本記事では、プラチナ投資が「やめておけ」と言われる理由から、金との決定的な違い、そしてリスクを踏まえた活用法までを解説してきました。

最後に、これまでの内容を踏まえ、あなたがプラチナ投資を始めるべきかどうかの最終的な判断基準を整理します。

プラチナが向かない人(初心者の典型例)

以下のような考えを持っている場合、「やめておけ」というアドバイスに従うのが賢明です。

  • 「安定・安全」を最優先したい人: 資産を減らしたくないなら、プラチナではなく「金(ゴールド)」や「債券」を選ぶべきです。
  • 短期的なお小遣い稼ぎをしたい人: プラチナは値動きが荒く、短期的には手数料負けするリスクも高いため、ギャンブル的な購入は推奨されません。
  • 資金に余裕がない人: 生活防衛資金が貯まっていない段階で、リスクの高いプラチナに手を出すのは順序が逆です。

プラチナが向く人(論理的に分散を考えられる人)

一方で、以下のような人にとっては、プラチナは魅力的な投資対象になり得ます。

  • リスクを理解した上で、リターンを狙いたい人: 金の安定感だけでは物足りず、サテライト(少額)資産として値上がり益を狙いたい場合。
  • 長期的な視点で「逆張り」ができる人: 「今は安すぎる」と判断し、需要回復まで数年単位で待てる忍耐力がある人。
  • 資産分散を徹底したい人: 金だけでなく、白金(プラチナ)や銀(シルバー)も組み合わせて、貴金属ポートフォリオを完成させたい場合。

家族会議での落としどころ

夫婦で将来の資産形成を話し合う際、プラチナ投資は意見が割れやすいテーマです。
堅実派(守り重視)と積極派(攻め重視)で意見が対立した場合は、以下の「折衷案」を参考にしてください。

  1. まずは「金(ゴールド)」で土台を作る
    いきなりプラチナから始めるのではなく、まずは守りの資産である金を積み立て、家族の安心感を確保します。
  2. プラチナは「ポイント投資」や「ETF」で少額から
    現物や高コストな積立ではなく、楽天ポイントなどのポイント投資や、コストの安いETFを使って「お試し」で保有してみます。
  3. 比率は「資産の1%」を厳守する
    「無くなっても生活が変わらない金額」に留めることで、精神的な余裕を持って値動きを見守ることができます。

プラチナは、その性質を正しく理解して付き合えば、決して「やめておけ」というだけの危険な商品ではありません。
「金は守りの盾、プラチナは攻めの剣」。この役割分担を意識して、ご自身の家計に合った最適な距離感を見つけてください。

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