「将来のお金が不安…」でも、金(ゴールド)なら安心?
「NISAで資産形成を始めたけれど、株だけでいいのか不安」「守りの資産として金(ゴールド)を持ちたい」
そう考えても、いざ証券会社の画面を開くと「金ETF」だけでいくつもの銘柄が並び、結局どれを選べばいいのか分からないという声が目立ちます。記号のような銘柄コードや、微妙に異なる手数料。「選ぶのが面倒で後回しにしてしまった」という人も少なくありません。
特に2025年以降、金価格の変動が注目される中で、NISAの「成長投資枠」を使って賢く金を保有したいというニーズは急増しています。
本記事では、複雑な専門用語を抜きにして、「初心者が損を避けるための選び方」と「目的別のおすすめ銘柄」を整理しました。ランキングを鵜呑みにするのではなく、あなたの投資スタイルに合った「お守り」を見つけましょう。
NISAで買える金ETFは何が違う?まずは3つの比較軸を整理
「金ETF」といっても、中身はすべて「金(ゴールド)」です。それなのに、なぜこれほど多くの種類があるのでしょうか?
初心者がチェックすべき違いは、実は「場所」「為替」「コスト」の3つだけです。これさえ押さえれば、自分に合うものが自然と見えてきます。
1. 【場所の違い】国内ETF(東証)か、海外ETF(米国)か
最も大きな違いは、どこに上場しているかです。
- 国内ETF(東証上場)
- 日本円で、日本の株と同じように売買できます。
- 「1326」「1540」などの4桁の数字コードが目印。
- メリット: 円で管理できるので計算が楽。昼間の時間帯に取引できる。
- 海外ETF(米国上場)
- 米ドルで、アメリカの市場で売買します。
- 「GLDM」「IAU」などのアルファベットコードが目印。
- メリット: 保有コスト(信託報酬)が圧倒的に安い銘柄が多い。
- 注意点: 買うために「円→ドル」への両替(為替手数料)が必要になる場合がある。
「難しそう」と感じたら国内ETF、「少しでもコストを下げたい」なら海外ETF、という切り分けでまずはOKです。
2. 【連動の違い】「円換算」と為替ヘッジ
NISAで金を持つ人の多くは、「円の価値が下がったとき(円安)のリスクヘッジ」を目的としています。
- 為替ヘッジなし(基本はこちら)
金そのものの値動き + 円安/円高の影響を受けます。円安になると資産価値が増えるため、「日本円だけで資産を持つのが怖い」という人に適しています。 - 為替ヘッジあり
為替の影響をなくし、純粋な「金価格」だけの値動きを狙います。円高になってもダメージを受けにくいですが、「ヘッジコスト」という手数料がかかるため、長期保有には不向きな場合があります。
特にこだわりがなければ、NISAでの長期保有は「為替ヘッジなし」が一般的です。
3. 【コストの違い】信託報酬と隠れた手数料
金ETFはずっと持ち続ける「お守り」のような資産です。だからこそ、毎年かかる管理手数料(信託報酬)が重要です。
- 信託報酬(維持費): 年0.1%〜0.4%程度と幅があります。「たかが0.1%の差」と思わず、安いものを選ぶのが鉄則です。
- 売買手数料: 最近のNISA(成長投資枠)では、国内・米国ともに売買手数料を無料にする証券会社が増えています。
Check!
100万円分持っている場合、信託報酬が0.4%なら年間4,000円、0.1%なら年間1,000円。30年持てば9万円もの差になります。
NISAでおすすめされやすい金ETF銘柄一覧【比較表】
ここからは、NISAの成長投資枠でよく選ばれている代表的な銘柄を紹介します。「国内の手軽さ」か「米国の低コスト」か、あなたの好みに合わせて見ていきましょう。
国内ETFの代表銘柄(日本円で買いたい人向け)
国内ETFは、証券口座にある「日本円」でそのまま買える手軽さが魅力です。
- 純金上場信託(1540)
通称「金の果実」。三菱UFJ信託銀行が運用。特徴は、一定口数集めると「本物の金(現物)」と交換できること(※交換には条件と手数料あり)。「いつかは現物が欲しい」というロマン派に人気です。
出典:金の果実シリーズ(三菱UFJ信託銀行) - SPDRゴールド・シェア(1326)
世界最大級の金ETFの日本版。取引量が非常に多く、売りたい時にすぐ売れる「流動性」の高さが安心材料。ただし、信託報酬は少し高めです。 - NEXT FUNDS 金価格連動型(1328)
野村アセットマネジメント運用。上記2つに比べて信託報酬が低く設定されており、コストを抑えたい国内派の選択肢として有力です。
出典:NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(1328)
米国ETFの代表銘柄(コスト最優先の人向け)
米国ETFは、圧倒的なコストの安さが武器です。NISA口座なら、配当(分配金)がない金ETFは外国税額控除の手間も関係ないため、非常に相性が良いです。
- SPDR ゴールド・ミニシェアーズ(GLDM)
「金ETFの決定版」とも呼ばれる人気銘柄。1株単価が安く、信託報酬も業界最安水準(0.1%程度)。長期保有ならまず候補に入ります。
出典:SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(SSGA) - iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU)
ブラックロック社が運用。こちらも低コストで歴史があり、GLDMと並んで人気があります。
主な金ETFスペック比較(2026年1月時点目安)
| 銘柄名 | コード | 上場 | 信託報酬 (年率) | 特徴・こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|
| SPDR ゴールド・ミニ | GLDM | 米国 | 約 0.10% | 【コスト重視】 NISAで長期放置したい人に最適。 |
| iシェアーズ ゴールド | IAU | 米国 | 約 0.25% | GLDMと並ぶ定番。実績重視の人に。 |
| 純金上場信託 | 1540 | 国内 | 約 0.44% | 【現物志向】 将来、本物の金に換えたい夢がある人。 |
| SPDR ゴールド・シェア | 1326 | 国内 | 約 0.44% | 【流動性】 売買のしやすさ・安心感重視の人。 |
| NEXT FUNDS 金 | 1328 | 国内 | 約 0.176% | 【国内×低コスト】 円で取引したいがコストも下げたい人。 |
※信託報酬等は調査時点の税抜・概算値です。最新情報は各証券会社のページでご確認ください。
初心者が迷ったら、「コスト最優先ならGLDM(米国)」「円での分かりやすさ優先なら1328(国内)」という基準で絞り込むのが近道です。
初心者が金ETFを選ぶときの3つの判断基準
「一覧表を見ても、まだ決めきれない…」
そんな時は、あれこれ比較するのをやめて、次の3つの基準だけで判断してみてください。プロや投資経験者が最終的にチェックしているのも、実はこのポイントがほとんどです。
1. 信託報酬は「0.2%以下」を目指せるか?
金ETFは、持っているだけで毎日チャリンチャリンと手数料(信託報酬)が引かれていきます。株のように配当金が出ない金ETFにおいて、コストはそのまま「マイナスリターン」になります。
- 目安: 年率 0.20%〜0.25% を切る銘柄は優秀です。
- 考え方: 10年、20年と放置するつもりなら、迷わずコスト最安クラス(米国ETFのGLDMなど)を選ぶのがセオリーです。
- 例外: 「英語の画面は怖い」「円で管理したい」という安心感を優先する場合のみ、多少コストが高くても国内ETF(1328など)を選ぶ価値があります。コスト差は「安心料」と割り切りましょう。
2. 流動性と純資産総額:「売りたい時に売れるか」
「買ったはいいけど、売りたい時に買い手がいない」——これがETFにおける最大のリスクの一つです。これを避けるために見るべき数字が「純資産総額」です。
- 純資産総額が大きい(数百億円以上): 多くの人が売買しており、適正な価格ですぐに売買できます。
- 純資産総額が小さい: 取引が成立しにくかったり、本来の金価格より不利な価格で約定してしまう可能性があります。
3. 「有名だから安心」は本当か?
ネット記事やSNSで「とりあえず1326(SPDRゴールド・シェア)が一番有名だから」と推奨されることがあります。確かに1326は歴史があり流動性も抜群ですが、個人の資産形成においては「有名=最適」とは限りません。
機関投資家(プロ)は「何億円分を一瞬で売買できるか」を重視して1326を選びますが、個人投資家がNISAでコツコツ積み立てるなら、そこまでの流動性は不要です。むしろ、知名度はそこそこでもコストが安い銘柄(GLDMや1328など)の方が、手元に残るお金は多くなる傾向にあります。
NISAで金ETFを選ぶ際の注意点と落とし穴
「NISAなら非課税だからお得」というのは間違いありませんが、金ETFならではの弱点もあります。購入ボタンを押す前に、以下の3つの「できないこと・リスク」を理解しておきましょう。
1. 配当金(分配金)が出ないため「非課税メリット」は半分
株式や投資信託(分配金あり)の場合、NISAのメリットは「売却益」と「配当金」の両方が非課税になることです。しかし、金(ゴールド)そのものは利益を生み出しません。
- 金ETFには配当がない: 持っているだけではお金は増えません。
- メリットは売却益のみ: 「安く買って高く売る」ことができた時だけ、税金(約20%)がかからないメリットを享受できます。
2. 短期売買には向かない理由
「金価格が史上最高値を更新!」というニュースを見て飛びつくと、痛い目を見ることがあります。
- 高値掴みのリスク: 話題になっている時は、すでに価格が上がりきっていることが多いです。
- 手数料負け: 特に米国ETFの場合、証券会社によっては為替手数料がかかります。短期で売買を繰り返すと、利益よりも手数料の負担が重くなることがあります。
金ETFは、株価が暴落した時のクッション役(保険)として、「10年単位でじっくり持つ」のが本来の使い方です。
3. 「つみたて投資枠」では買えないケースが大半
NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がありますが、金ETFのほとんどは「成長投資枠」でしか購入できません。
- つみたて投資枠: 金融庁が厳選した投資信託のみ。金ETFは対象外。
- 成長投資枠: こちらを使用します。
「つみたてNISA(旧制度の呼称)だけで枠が埋まっている」という方は、新たに資金を用意するか、枠の配分を考える必要があります。
【タイプ別】結局どれを選ぶ?あなたにおすすめの考え方
ここまで比較してきましたが、「理屈はわかったけれど、結局自分にはどれがいいの?」と迷ってしまう方もいるでしょう。結論として、初心者が選ぶべき選択肢は以下の3タイプに絞られます。
1. とにかくシンプルに管理したい派 → 【国内ETF(1328など)】
「ドルの計算や為替の手数料を気にするのは面倒」「日本の証券口座の画面だけで完結させたい」という方には、東証上場のETFが最適です。
- おすすめ銘柄: NEXT FUNDS 金価格連動型上場投信(1328)
- 理由: 国内ETFの中では信託報酬が比較的安く、円建てで資産状況を把握しやすいためです。「1540(純金上場信託)」も現物交換という魅力がありますが、コスト面では1328に軍配が上がります。
2. コスト重視・長期放置派 → 【米国ETF(GLDM)】
「1円でも無駄なコストを払いたくない」「一度買ったら20年は売らない」という覚悟があるなら、米国ETF一択です。
- おすすめ銘柄: SPDR ゴールド・ミニシェアーズ・トラスト(GLDM)
- 理由: 業界最安水準の信託報酬(約0.1%)は圧倒的です。購入時に円をドルに替える手間はありますが、長期運用でのコスト差はその手間を補って余りあるメリットになります。
3. ETFの手続きすら面倒な「ほったらかし」派 → 【投資信託】
もしあなたが、「ETFの注文画面(指値・成行など)が難しい」「毎月決まった日に自動で引き落としてほしい」と感じるなら、無理にETFを選ばず、「投資信託(ゴールドファンド)」を選ぶのも賢い選択です。
- 考え方: 投資信託はETFより少し信託報酬が高めですが、100円から金額指定で購入でき、「つみたて設定」も簡単です。
金ETFはNISAでどう組み込む?家計全体での考え方
最後に、金ETFを購入する前に「どれくらいの量を持つべきか」を確認しておきましょう。ここを間違えると、資産を増やすスピードが遅くなってしまう可能性があります。
資産全体の「5〜10%」が黄金比
金は「守りの資産」です。株式のように年平均7%〜10%で成長するものではありません。ファイナンシャルプランナーや専門家が推奨する一般的な目安は、資産全体の5%〜10%程度です。
- 良い例: 世界株・米国株の投資信託 90%(攻め) + 金ETF 10%(守り)
- 避けるべき例: 金ETF 50%以上(資産が大きく増えるチャンスを逃す可能性があります)
まとめ:自分に合った銘柄で「お守り」を持とう
金(ゴールド)は、人類の歴史の中で価値を失ったことのない唯一無二の資産です。NISA口座で金ETFを持つことは、将来の不透明な経済状況に対する、非常に強力な「お守り」になります。
- 面倒な計算が嫌なら → 国内ETF(1328)
- コスト徹底重視なら → 米国ETF(GLDM)
迷っている時間はもったいないです。まずは少額から、あなたのポートフォリオに「輝き」を加えてみてはいかがでしょうか。