お金を増やす(資産運用の基本)

金ETFとは?NISAで買う前に初心者が必ず知っておくべき仕組みと注意点

「将来のために資産形成を始めたいけれど、株だけでは暴落が怖い」「円安で現金の価値が下がっている気がする」

こうした不安から、安定資産の代名詞である「金(ゴールド)」に注目する人が増えています。しかし、実際に始めようとすると「金の延べ棒を買うのはハードルが高い」「手数料で損をしそう」といった疑問に直面し、足踏みしてしまうケースが少なくありません。

「なんとなく良さそう」で始めると、制度の違いで思わぬコストがかかることもあります。

例えば、将来への備えとして資産形成を検討しているBさん(30代会社員)の事例です。「NISAを使えば非課税になる」と聞いて金への投資を検討していましたが、実は「金ETF」と「純金積立」では税金の仕組みや使えるNISAの枠が異なることを知り、危うく自分に合わない商品を選ぶところだったといいます。

SNSや口コミでも「金投資は手数料負けする」「NISAで買うべきか迷う」といった声は頻繁に見られます。金は守りの資産として優秀ですが、「どの箱(商品)」で買うかによって、手元に残るお金や手間が大きく変わります。

本記事では、初心者でも扱いやすい「金ETF」の仕組みと、新NISA制度での賢い活用法を整理しました。難しい専門用語は噛み砕いて解説しますので、まずは基本を押さえ、自分に合った選択肢を見つけましょう。

金ETFとは?初心者向けに仕組みを噛み砕いて解説

「金ETF(イー・ティー・エフ)」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、仕組みは非常にシンプルです。一言で言えば、「証券取引所を通じて、手軽に金を売買できる仕組み」のことです。

ここでは、現物の金や投資信託との違いを整理し、なぜ初心者に選ばれているのかを解説します。

金ETFの基本構造(何に連動している?)

ETFは「上場投資信託」と呼ばれ、株式と同じようにリアルタイムで価格が変動し、売買できる商品です。金ETFの場合、「金の価格」に連動するように作られています。

  • 株への投資:企業の成長(業績)に投資する
  • 金ETFへの投資:金そのものの価値(価格)に投資する

読者からよく寄せられる疑問に「金ETFを買うと、家に金が届くの?」というものがありますが、現物が届くわけではありません。あくまで「金の価値」を買う権利を持つイメージです。そのため、自宅での保管場所や盗難リスクを気にする必要がありません。

出典:日本取引所グループ(JPX)「ETF(上場投資信託)の仕組み」

現物の金を買うのと何が違う?

昔ながらの「金の延べ棒(現物)」や宝飾品を買う場合と、金ETFには明確な違いがあります。特にコストと手間の面で、ETFは家計に優しい設計になっています。

比較項目 金ETF(証券口座) 現物の金(貴金属店など)
購入単位 数千円〜(1口単位) 数万円〜数百万円(g単位)
保管場所 不要(口座で管理) 自宅金庫や銀行貸金庫
手数料 売買手数料(安価) バーチャージ等の手数料(高め)
換金性 市場が開いていれば即売却 店舗へ持ち込む手間あり
盗難リスク なし あり

「将来のために少しずつ持ちたい」という資産形成層にとって、保管コストがかからず、スマホ一つで売買できる点は大きなメリットと言えます。

投資信託・純金積立との違い

「銀行や証券会社で『金』の投資信託や積立を勧められた」という方もいるかもしれません。これらとETFの最大の違いは「取引のタイミング」「コスト」です。

  • 投資信託(非上場)
    • 1日1回決まる「基準価額」で売買します。「今この瞬間の値段」では買えません。
    • 積立設定が簡単ですが、保有コスト(信託報酬)がETFよりやや高めに設定されている傾向があります。
  • 金ETF(上場)
    • 株式市場が開いている間、リアルタイムの価格で売買できます。
    • 保有コストが比較的低く抑えられています。

「毎月自動で引き落として放置したい」なら投資信託、「コストを抑えつつ、好きなタイミングで売買したい」ならETF、という使い分けが一般的です。

NISAで金ETFは買える?非課税メリットと注意点

資産形成をする上で欠かせないのが「新NISA制度」です。金ETFもNISA口座での購入が可能ですが、すべての枠で買えるわけではありません。ここで制度上のルールを整理します。

新NISAで金ETFは対象になる?

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がありますが、金ETFは基本的に「成長投資枠」での購入となります。

  • 成長投資枠金ETFの購入が可能。上場株式やETFを広く対象としています。
  • つみたて投資枠基本的に対象外。金融庁が定めた「長期・積立・分散」に適した一定の投資信託に限られるため、金単体に投資する商品は含まれないケースがほとんどです。

「つみたて投資枠でコツコツ金を買いたい」と考えていた場合、枠が使えない可能性があるため注意が必要です。その場合は「成長投資枠」を使って、手動または証券会社のサービスを利用して積立購入を行う形になります。

出典:金融庁「新しいNISA」制度概要

非課税メリットがどう効くのか

通常、投資で得た利益には約20%(20.315%)の税金がかかります。しかし、NISA口座(成長投資枠)で購入すれば、利益にかかる税金がゼロになります。

【利益が10万円出た場合の比較】

  • 通常の口座(課税):手取り 約79,685円(税金約2万円が引かれる)
  • NISA口座(非課税):手取り 10万円(まるごと受け取れる)

金は長期的に価値が上がっていくことを期待して持つ資産(インフレヘッジ)であるため、保有期間が長くなるほど利益が出た際の節税効果は大きくなります。将来の取り崩しを考えた際、この20%の差は家計にとって無視できない金額になります。

配当・分配金の扱い

株式投資では定期的に「配当金」がもらえることがありますが、金(コモディティ)自体は利子や配当を生みません。

金ETFの中には仕組み上「分配金」が出るものもありますが、基本的には「値上がり益(キャピタルゲイン)」を狙う商品です。
NISAのメリットは「配当金の非課税」と「売却益の非課税」の2つですが、金ETFの場合は主に「売却益の非課税」の恩恵を受けることになります。

「毎月のお小遣い(配当)が欲しい」という目的で金ETFを買うと、期待外れに終わる可能性があるため、この点は事前に理解しておく必要があります。

金ETFのメリット|なぜ「守りの資産」と言われるのか

投資の世界では「有事の金(ゆうじのきん)」という格言があります。戦争や不況、パンデミックなど社会が不安定になったときにこそ、金はその輝きを増すと言われています。

なぜ金ETFが家計を守る「盾」として機能するのか、その具体的な理由を3つの視点で解説します。

インフレ・円安に強い理由

私たちの生活を脅かす「インフレ(物価上昇)」と「円安」。これらは言い換えれば「現金の価値が下がること」を意味します。

  • 現金(円):国が発行する通貨。発行量が増えたり国の信用が揺らいだりすると、価値が下がります。
  • 金(ゴールド):そのもの自体に価値がある実物資産。埋蔵量に限りがあり、人工的に増やせません。

例えば、スーパーで買う卵の値段が上がっているとき、現金の価値は相対的に下がっています。しかし、金はモノとしての価値を持つため、物価上昇に合わせて価格が上がりやすい傾向にあります。
特に日本で暮らす私たちにとって、資産の一部を金(ドル建てで評価される資産)で持つことは、「日本円の価値が下がったときのリスクヘッジ(保険)」として非常に有効です。

株と違う値動きをする意味

資産形成の王道は「全世界株式」や「S&P500」などの株式投資ですが、株式は景気後退局面で大きく値下がりするリスクがあります。

一般的に、金は「株式と逆の値動きをする」傾向があると言われています。

  • 景気が良いとき:株が買われ、金は売られやすい(価格が落ち着く)
  • 景気が悪いとき:株が売られ、安全資産である金が買われる(価格が上がる)

家計の資産を「株」と「金」に分けて持っておくことで、株が暴落したときのショックを金の値上がりでカバーする効果が期待できます。これを専門用語で「相関が低い資産を持つ(分散効果)」と呼びます。「全部株だと夜眠れない」という方にとって、精神安定剤のような役割を果たしてくれます。

家計全体で見たときの役割

金ETFの隠れたメリットは、その「使い勝手の良さ(流動性)」です。

不動産投資の場合、いざ現金が必要になってもすぐに売ることは難しく、手続きも複雑です。現物の金も、買取店へ持ち込む手間がかかります。
しかし、金ETFならスマホ一つで市場価格ですぐに売却し、数日後には現金として引き出すことが可能です。

「老後資金として育てつつ、教育費や住宅購入など急な出費が必要になったら現金化する」といった柔軟な対応ができる点は、子育て世代の家計管理において大きな強みとなります。

出典:日本証券業協会「投資の基本(分散投資)」

金ETFのデメリットとリスク|過度な期待は禁物

ここまでメリットをお伝えしましたが、金ETFは決して「万能な打ち出の小槌」ではありません。株式とは異なる特有のデメリットがあります。これらを知らずに買うと、「思ったより増えない」と後悔することになりかねません。

配当が出ない

金投資における最大のデメリットは、「持っているだけでは何も生まない」という点です。

  • 株式:企業が利益を出せば「配当金」がもらえる。
  • 債券:貸したお金に対して「利子」がもらえる。
  • 利子も配当も生まない。

金ETFで利益を出す方法は、買った値段より高く売る「売却益」のみです。「複利効果(利益が利益を生んで雪だるま式に増えること)」が働きにくいため、資産を爆発的に増やす力は株式に劣ります。
あくまで「守り」の資産であり、資産を大きく増やす「攻め」の主役にはなりにくいことを理解しておく必要があります。

短期では増えない可能性

金は長期で見れば右肩上がりの傾向にありますが、短期的には大きく下落することもあります。
また、日本の投資家が金ETFを買う場合、「為替(円安・円高)」の影響をダイレクトに受けます。

  • 金の価格(ドル建て)が上がっても、急激に「円高」が進んだ場合
    → 日本円での評価額は下がることがあります。

「金=絶対安全」と思い込み、短期間で利益を出そうとすると、タイミングによっては損をする可能性があります。数年〜10年以上の単位でじっくり保有する姿勢が求められます。

「金=必ず上がる」は誤解

「過去最高値を更新!」というニュースを見ると、これからも上がり続けるように錯覚しがちです。しかし、金の価格は米国の金利政策や世界情勢に複雑に影響されます。

特に、米国の金利が上がっている局面では、金利がつかない金の魅力が相対的に下がり、売られやすくなることがあります。
「なんとなく安心だから」と資産のすべてを金に換えてしまうのは危険です。あくまでポートフォリオ(資産の組み合わせ)の一部として組み入れるのが賢明な付き合い方です。

金ETFが向いている人・向いていない人

ここまでのメリットとデメリットを踏まえると、金ETFは「誰にでもおすすめできる」わけではないことが分かります。自分の家計タイプや投資目的に合っているか、以下の基準でチェックしてみましょう。

向いている家計タイプ

金ETFは「資産を大きく増やす」よりも「今ある資産を減らさない」ことに重きを置く人に適しています。

  • 既に一定の貯金や株式資産がある人
    「株の暴落に備えて、値動きの違う資産を持っておきたい」という分散投資のニーズに最適です。
  • 円安による資産目減りが不安な人
    日本円だけで貯金をしていることに危機感があり、ドル建て資産(金)を持つことでリスクを分散したい人に向いています。
  • 「ほったらかし」で長期保有できる人
    短期的な値動きに一喜一憂せず、10年、20年先を見据えて「お守り」として持てる人におすすめです。

向いていない投資スタイル

一方で、以下のような考えを持っている場合、金ETFはミスマッチになる可能性が高いです。

  • 短期間(1〜2年)で資産を倍にしたい人
    金は株式のような急成長は期待しにくい資産です。
  • 配当金で生活を豊かにしたい人
    配当が出ないため、キャッシュフロー(現金の受け取り)を重視する人には不向きです。
  • NISAの「つみたて投資枠」だけで完結させたい人
    基本的に成長投資枠を使う必要があるため、つみたて投資枠のみで運用したい場合は選択肢に入りません。

家計における「金の比率」はどれくらい?

一般的に、資産全体に占める金の割合は「5%〜10%程度」が目安と言われています。

例えば、投資資産が100万円ある場合、そのうち5万〜10万円分を金ETFで持つイメージです。「主役はあくまで株式や投資信託、金は脇役(スパイス)」というバランス感覚が、リスクを抑えつつ資産を育てるコツです。

じゃあ、NISAで買うならどの金ETF?

「自分には金ETFが合っていそうだ」と感じた方も、証券口座の検索画面を開くと、たくさんの銘柄が出てきて戸惑うかもしれません。

金ETFには大きく分けて2つの種類があります。

  1. 東証上場ETF(円建て):日本株と同じ感覚で、円で売買できる。
  2. 米国ETF(ドル建て):ドルに両替して買う必要があるが、コストが安いものが多い。

NISAの成長投資枠ではどちらも購入可能ですが、「手数料(信託報酬)」「為替手数料」を考慮して選ぶことが重要です。「手軽さ」を取るか、「維持コストの安さ」を取るかで、最適な銘柄は変わってきます。

具体的な銘柄選びは「比較記事」で詳しく解説

初心者が最初に買うべき銘柄はどれなのか? 国内・海外の主要な金ETFを比較し、コストや買いやすさを徹底検証した記事を用意しました。

「損をしたくない」「一番お得な銘柄を知りたい」という方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。

→【2026年版】NISAでおすすめの金ETFを徹底比較|初心者が選ぶ基準も解説

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