お金を整える(家計の最適化)

子どもの教育費はいくら?いつ・どこでかかるかマルっと早わかり

「将来のお金が不安…」そう考えていても、何から始めればいいのか分からないという声が目立ちます。特に「教育費」は、人生の三大資金の一つと言われるほど大きな金額。しかし、総額1,000万円とも2,000万円とも言われる数字だけが独り歩きし、具体的に「いつ・いくら」手元に用意しておけばいいのか、判断が難しいポイントです。

SNSや口コミサイトでも「塾代が予想外にかかった」「私立に入れたら生活が苦しくなった」という声がある一方で、「意外と公的な手当でカバーできた」という意見もあり、情報が交錯しています。

本記事では、損を避けるための基準として、0歳から大学卒業までに「いつ・どこで・いくら」のお金が必要になるのか、最新の統計データをもとに整理しました。まずは全体像を正しく把握し、将来への漠然とした不安を「具体的なスケジュール」に変えていきましょう。


子どもの教育費は「いつ・どこで」かかるのか全体像

教育費を考える際、多くの人が「総額」に目を向けがちです。しかし、家計管理において本当に重要なのは、総額よりも「いつ、大きな支出が発生するのか」というタイミングです。

子どもの成長に伴う教育費の推移は、決して平坦ではありません。一定の時期にドカンと大きな山が来る「波」のような構造をしています。

教育費は一気にではなく“波”で来る

教育費の支出は、毎月一定額が積み重なる「ランニングコスト」と、入学時などに発生する「イニシャルコスト」の2種類に分けられます。

  • ランニングコスト: 授業料、給食費、習い事の月謝、塾代など
  • イニシャルコスト: 入学金、制服代、ランドセル代、受験料など

特に注意が必要なのは、中学校から高校、高校から大学へと進学するタイミングです。この時期は受験料や入学金が重なり、家計に大きなインパクトを与えます。逆に言えば、この「波」が来る時期をあらかじめ予測できていれば、直前になって慌てるリスクを大幅に減らすことができます。

お金がかかるタイミングはほぼ決まっている

子どもの教育費には、あらかじめ予測可能な「ピーク」がいくつか存在します。

  1. 小学校入学時: ランドセルや学習机、学用品の準備
  2. 中学・高校の受験期: 塾の夏期講習・冬期講習、受験料
  3. 各学校への入学時: 入学金、制服、指定のカバンや靴などの備品
  4. 大学進学時: 最大のピーク。入学金、前期授業料、一人暮らしを始める場合はその準備費用

このように、教育費は子どもの年齢に応じて「いつ、何にお金がかかるか」がほぼ決まっています。このスケジュールを把握することが、資産形成の第一歩となります。

幼少期は意外とかからない理由

「子どもが生まれたらすぐにお金がかかる」と身構える方も多いですが、実は小学校に上がるまでの幼少期は、かつてほど教育費の負担は重くありません。

その最大の理由は、2019年10月から始まった「幼児教育・保育の無償化」制度です。3歳から5歳までのすべての子ども、および0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもを対象に、幼稚園、保育所などの利用料が原則無料となっています。給食費や行事費などは自己負担となりますが、かつての「月々数万円の保育料」という大きな負担は軽減されました。

そのため、現在の教育費準備の定石は、「負担が軽い幼少期のうちに、中学以降のピークに向けて貯蓄の土台を作る」ことにあると言えます。


0歳〜大学までにかかる教育費の総額目安

教育費の全体像が見えてきたところで、次に気になるのが「結局、合計でいくら必要なのか」という総額の目安です。文部科学省の調査結果をもとに、進路ごとのシミュレーションを確認してみましょう。

公立中心の場合のざっくり総額

すべて公立(大学のみ国立)を選んだ場合、0歳から大学卒業までの22年間の総額は、約800万円〜1,000万円前後が目安となります。

学校種別 年間の学習費(平均) 期間の合計額(目安)
公立幼稚園 約16.5万円 約50万円(3年間)
公立小学校 約35.3万円 約212万円(6年間)
公立中学校 約53.9万円 約162万円(3年間)
公立高校 約51.3万円 約154万円(3年間)

これに大学4年間の費用(国立大学の場合、入学金+授業料で約250万円程度)を加算すると、およそ800万円〜900万円台に収まる計算になります。

私立を選んだ場合のざっくり総額

一方で、私立を中心とした進路を選ぶと、費用は劇的に跳ね上がります。文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、各段階での年間学習費総額は以下の通りです。

学校種別 年間の学習費(平均) 期間의合計額(目安)
私立幼稚園 約30.9万円 約93万円(3年間)
私立小学校 約166.7万円 約1,000万円(6年間)
私立中学校 約143.8万円 約431万円(3年間)
私立高校 約105.4万円 約316万円(3年間)

すべて私立(大学は私立文系)を選んだ場合、総額は2,000万円〜2,500万円以上に達することもあります。公立コースと比較すると、2倍以上の開きがあることがわかります。

「平均額」に振り回されない考え方

ここで注意したいのは、統計データの「平均額」はあくまで一つの目安に過ぎないということです。教育費の総額を左右する最大の要因は、実は授業料そのものよりも「学校外活動費(塾代・習い事)」です。

「うちは公立だから安心」あるいは「私立だから無理」と決めつけるのではなく、「どの時期に、どの程度の習い事や塾を利用する想定か」という家庭の方針をセットで考える必要があります。


教育ステージ別|どの時期にいくらかかる?

それぞれの時期に「何にお金が出ていくのか」という内訳を知ることで、家計のシミュレーションはより現実味を帯びてきます。

幼稚園・保育園でかかるお金

「幼児教育・保育の無償化」によって利用料そのものは軽減されていますが、完全に「0円」ではありません。

  • 無償化の対象外: 通園バス代、給食費、行事費、制服代など
  • 延長保育・習い事: 延長保育料や園内での課外教室費用

小学校でじわじわ増える出費

小学校は6年間と長いため、総額では大きな金額になります。授業料は無料ですが、以下の費用が発生します。

  • 学校教育費: 給食費、図書・学用品費、修学旅行の積立金など
  • 学校外活動費: スポーツ少年団やピアノなどの習い事、高学年からの塾代

中学・高校で一気に跳ね上がる理由

中学校・高校の3年間は、進路決定が重なり、教育費が一段階ステップアップします。

  • 部活動の費用: 遠征費、ユニフォーム代、道具代など
  • 塾・予備校代: 受験期(中3・高3)には、夏期講習などでスポット費用が発生

大学費用が別枠で考えられる理由

大学費用は「まとまった金額が、短期間に集中して出ていく」という特性があります。国立で約250万円、私立文系で約400万円、私立理系で約550万円以上が目安となり、これに一人暮らしの仕送り等が加わるとさらに膨らみます。そのため、大学費用は「事前に貯めておいた資産」から出す準備が必要です。


公立と私立で教育費はどれくらい違う?

「私立は高い」というイメージの正体を、項目別に整理してみましょう。

中学・高校から差が開く構造

最も顕著に差が現れるのが中学校です。公立中学校は授業料が無料であるのに対し、私立中学校は授業料や施設設備費などで、学校教育費が年間約100万円以上高くなるのが一般的です。

私立=贅沢ではないケースもある

「私立は高いから避けるべき」という単純な判断ではなく、費用対効果で考える視点も重要です。例えば、放課後の補習が充実している私立校であれば、「高い学費を払う代わりに、外の塾に通う必要がない」という選択肢も生まれます。トータルの支出で比較検討することが大切です。


「教育費が不安」になる家庭の共通点

教育費に対する漠然とした恐怖を抱える家庭には、いくつかの共通したパターンが見受けられます。

  • 総額を知らないまま住宅ローンを組む: 教育費のピーク(10〜15年後)とローンの返済が重なる「ダブルピーク」を想定できていない。
  • ピーク時期を把握していない: 総額の大きさに圧倒され、「いつまでにいくら」という逆算ができていない。
  • 兄弟が増えた時の想定がない: 「上の子が大学、下の子が高校」というように、高額な支出時期が重なる期間を考慮していない。

まずは“ざっくり把握”で十分な理由

現時点では「完璧な計算」を目指す必要はありません。大切なのは、以下の2点を理解しておくことです。

  1. 正確な金額は誰にも出せない: 本人の進路希望や社会情勢で状況は常に変わります。
  2. 規模感を知るだけで判断できる: 「大学用に最低400万円は確保する」といった大枠の目標が決まるだけで、家計の優先順位がクリアになります。

教育費の「全体像」が見えてきたら、次は「どうやってそのお金を準備するか(NISA、学資保険、児童手当など)」という具体的な手法のフェーズに移りましょう。まずは今回把握した「わが家の教育費スケジュール」を、家族で共有することから始めてみてください。

出典・参考資料

-お金を整える(家計の最適化)