「ねえ、ちょっとボーナスの明細見た? 厚生年金だけで10万円以上引かれてるんだけど!これ絶対何かの間違いじゃない!?」
リビングに響き渡った妻の叫び声。それが、私たち「サルヂエファミリー」が、自分たちの家計の現実に真正面から向き合うことになったキッカケでした。
家事や育児に追われる毎日の中で、給与明細なんて「最終的な手取り額」しか見てこなかった我が家。毎月のやり繰りや車の維持費、子どもの教育費に頭を悩ませつつも、「少しでも安く済ませたいけど、調べるのは面倒くさい」と、お金の仕組みについて考えることをつい後回しにしていました。
しかし、手元に届いた「ねんきん定期便」とボーナスの明細を突き合わせたとき、夫婦揃って絶句しました。「ボーナスから社会保険料が高すぎるほど引かれている」「私たちが汗水流して働いたお金は、一体どこに消えているのか?」と。
この記事では、そんな我が家の生々しい失敗談と怒りを出発点に、理屈派のパパが「ボーナスから引かれる厚生年金の仕組み」を徹底的に調べ上げ、夫婦でたどり着いた家計防衛策までをお伝えします。「厚生年金が高すぎる!」と嘆くだけでなく、そこからどうやって自分たちのお金を守り、賢くやり繰りしていくべきか。かつての私たちと同じように明細を見て青ざめている方の参考になれば幸いです。
ボーナスの明細を見て妻が激怒した我が家の悲劇
楽しみにしていた賞与から「10万円」が消えていた
「やっとボーナスだ!これで車検代も払えるし、固定資産税もなんとかなる!」
待ちに待った夏のボーナス支給日。我が家では、このお金をあてにして数カ月前から支払いの計画を立てていました。2人の息子たちは食べ盛りで食費は右肩上がり。愛車のミニバンは次回の車検でタイヤ交換も重なりそうで、まとまったお金がどうしても必要だったのです。
ワクワクしながら妻がスマホでWEB給与明細を開いた瞬間、冒頭の悲鳴があがりました。
「手取りが全然少ない!控除の欄がおかしいよ!」
慌てて私も画面を覗き込むと、そこには目を疑うような数字が並んでいました。健康保険料、雇用保険料、所得税……引かれている項目はたくさんありましたが、中でも圧倒的な存在感を放っていたのが「厚生年金保険料:約10万円」という文字でした。
「10万円!? 毎月のお給料からも引かれてるのに、ボーナスからさらに10万円も持っていかれるの!?」
妻の怒りは頂点に達しました。無理もありません。10万円あれば、悩んでいた車のタイヤを新品のいいやつに交換して、さらに家族で美味しい焼肉に何度か行ける金額です。それが、手元に届く前に跡形もなく消え去っているのですから。
何かの間違い?明細を何度も見直した夫婦の焦り
「いやいや、いくらなんでもボーナス1回で10万円は高すぎる。経理の人が計算ミスしたんじゃないか?」
現実を受け入れたくない私は、過去の給与明細や、先日ポストに入っていた「ねんきん定期便」を引っ張り出してきました。ねんきん定期便の「最近の月別状況です」という欄を見ると、確かに毎月の標準報酬月額とともに、賞与の額面と納付額が印字されています。
それまで「ねんきん定期便」なんて、ペラッとめくって「ふーん、将来いくらもらえるのかな」程度にしか見ていませんでした。しかし、改めて過去の履歴を見てみると、ボーナスが支給されるたびに、きっちりと恐ろしい額の厚生年金が引かれ続けていたのです。
「ウソでしょ……今までずっと、こんなに引かれてたのに気づかなかったの?」
夫婦揃って顔面蒼白です。私たちは、自分たちのお金なのに、自分がいくら払っているのかすら全く把握していなかったのです。ただただ「手取りが少ない」「もっと節約しなきゃ」と、スーパーの特売品を追いかけたり、安いカー用品を探したりして小銭を浮かせることばかりに必死になっていました。
「根本的なところでお金がダダ漏れしているじゃないか」。この強烈な焦りが、私を徹底調査へと駆り立てました。
なぜボーナスから10万円も引かれる?怒りの徹底調査
厚生年金は「賞与」からも容赦なく引かれる仕組みだった
「こんなに持っていかれる理由が分からないと、悔しくて夜も眠れない!」
理屈派のパパとしてのスイッチが入った私は、パソコンを開いて年金機構のホームページや解説記事を読み漁りました。専門用語ばかりの無機質なページに悪戦苦闘しながらも、必死に読み解いていくうちに、ある残酷なルールにたどり着きました。
昔(2003年より前)は、ボーナスからは厚生年金が引かれなかった時代があったそうです。しかし今は「総報酬制」というルールに変わり、毎月の給与だけでなく、ボーナス(賞与)からもキッチリと保険料が徴収される仕組みになっていました。
計算方法は意外とシンプルでした。ボーナスの額面から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に、保険料率を掛けるだけ。そして、現在の厚生年金保険料率は「18.3%」で固定されています。
「待てよ、18.3%ってことは……」
このうち、私たち会社員が給与から天引きされるのは半分の「9.15%」です。つまり、ボーナスが額面で約110万円あった場合、110万円 × 9.15% = 10万650円。
「計算、合ってるじゃん……!」
経理のミスでも何でもなく、日本の法律に則って、寸分違わず10万円が引かれていたのです。「ボーナスはご褒美だから引かれないでほしい」なんていう私たちの甘い期待は、見事に打ち砕かれました。容赦なく、そして正確に、ボーナスからも9.15%が徴収されるのが今の会社員の現実でした。
我が家の年収でシミュレーション!社会保険料のリアルな数字
ボーナスの仕組みが分かってしまうと、今度は「じゃあ年間でトータルいくら払っているんだ?」という疑問が湧いてきました。怖いもの見たさで、当時の我が家の年収(約700万円・ボーナス年2回)で大まかなシミュレーションをしてみました。
毎月の給料(額面約40万円強)から引かれる厚生年金が、月に約3万8,000円。
これが12ヶ月分で、約45万6,000円。
さらに、ボーナス(額面約110万円×2回)から引かれるのが、1回約10万円。
これが2回分で、約20万円。
「45万6,000円 + 20万円 = 約65万6,000円!?」
電卓を弾いた手が止まりました。厚生年金だけで年間65万円以上。これに健康保険料や雇用保険料を合わせると、社会保険料のトータルは年間100万円に迫る勢いでした。
「私たちが一生懸命切り詰めて、車検代を数万円安くするために何店舗も相見積もりを取ったり、DIYでオイル交換したりしてるのに……勝手に年間100万円近くも引かれてるの!?」
横で計算結果を見ていた妻も、怒りを通り越して唖然としていました。手取りを増やすために節約を頑張っていたのに、見えないところでこんなに巨大な額が動いていた。この圧倒的な「やらされ感」と「コントロールできない不安」に、私たちはただ打ちのめされるしかありませんでした。
しかし、徹底的に調べ続けた結果、この「年間100万円の徴収」には、私たちが全く気づいていなかった“もう一つの裏の顔”があることが分かったのです。
【衝撃】実は会社も同じ額を払ってくれていた事実
見えない会社の福利厚生「労使折半」の威力
「ねえ、ちょっと待って。さっき年間100万円近く引かれてるって計算したけど、これ、とんでもない事実が発覚したかも……」
パソコンの画面を食い入るように見つめていた私が振り返ると、妻はまだスマホで家計簿アプリを見つめながらため息をついていました。タイヤ代をどう捻出するかで頭がいっぱいだったようです。
「どうしたの? これ以上、何か引かれてるものがあるの!?」
「いや、逆。実はこの厚生年金、俺たちが払ってるのと同じ額を、会社も払ってくれてるみたいなんだ」
年金の仕組みをさらに深掘りして調べていくと、「労使折半(ろうしせっぱん)」という言葉にぶち当たりました。文字通り、労働者(私)と使用者(会社)が、保険料を半分ずつ負担するというルールです。
教科書的に言えば「厚生年金保険料は標準報酬月額および標準賞与額に18.3%を掛けた額を、事業主と被保険者が半分ずつ負担する」となります。しかし、これを我が家のボーナス明細というリアルなフィルターを通すと、とんでもない事実が浮かび上がってきました。
「つまり、俺のボーナスから10万円引かれてたってことは、会社も裏でこっそり10万円を国に払ってるってこと?」
「えっ、パパのボーナスから引いたお金をそのまま国に横流ししてるだけじゃないの?」
「違うんだよ。俺の給料から10万円引いて、さらに会社のお財布から10万円足して、合計20万円を国に納めてるんだ」
10万円引かれている=「合計20万円」の強制積み立てだった
それを聞いた妻は、目を丸くして数秒フリーズした後、ポツリと言いました。
「……なんか、急に会社に感謝の気持ちが湧いてきた。パパ、今の会社辞めないでね」
笑い話のようですが、これは私たちにとって非常に大きな気づきでした。自営業やフリーランスの方が加入する「国民年金」は、全額を自分で負担しなければなりません。もちろん制度の違いはありますが、会社員であるというだけで、会社が「見えない福利厚生」として、私たちが負担する年金と同額を負担してくれているのです。
「ってことは、今回のボーナスで、俺たちは国に『20万円』の積立投資をしたのと同じってことか」
「一回のボーナスで20万円の積み立て……。私たちが必死に毎月コツコツやってる投資信託なんかより、はるかにデカい金額が自動で積み立てられてるんだね」
怒り心頭だった妻の表情が、少しだけ和らぎました。単に「10万円搾取されている」と思っていたのが、「会社が10万円足して、20万円の資産形成をしてくれている」と視点を変えるだけで、お金に対する見え方がガラリと変わったのです。
冷静になって「年間総額」を計算して青ざめた夜
毎月の給与とボーナスから引かれるトータル額
しかし、ホッとしたのも束の間。労使折半の事実を知ったことで、パパの理屈っぽい脳みそはさらなる計算を始めてしまいました。
「ちょっと待てよ……。会社も同額払ってるってことは、さっき計算した『年間で引かれてる総額』って、国に納められてる本当の金額の半分でしかないってことだよな?」
嫌な予感がして、もう一度電卓を叩き直しました。
先ほど、私の給与とボーナスから天引きされている厚生年金の総額が「年間約65万円」だと計算しました。これに、会社が負担してくれている同額(約65万円)を足すと……。
「パパ、いくらになったの?」
「……厚生年金だけで、年間約130万円。これに健康保険料も労使折半で倍になるから、我が家という単位で見たら、年間200万円近いお金が社会保険料として国に吸い上げられてる計算になる」
「年間200万円!? ちょっとした中古車が毎年1台買える金額じゃない!!」
先ほどまでの「会社への感謝」はどこへやら、あまりのスケールの大きさに再び青ざめる夫婦。手取りの少なさに文句を言っているレベルの話ではありませんでした。私たちの見えないところで、毎年毎年、コンパクトカーの新古車が買えるほどの莫大なお金が動いていたのです。
払った分は本当に戻ってくる?年金制度への素朴な疑問
「毎年200万円近くも国に預けてるなら、将来めちゃくちゃお金持ちになれるよね? 車なんて買い放題だよね?」
妻がすがるような目で聞いてきました。
そこで浮上したのが、おそらく日本中の誰もが一度は抱く素朴な疑問です。
「これだけ払って、本当に将来戻ってくるのか?」
ニュースを見れば「少子高齢化で年金制度は崩壊する」「今の現役世代はもらい損になる」といったネガティブな情報ばかりが飛び込んできます。正直、当時の私たちも「こんなに強制的に積み立てさせられて、もし将来『ごめんなさい、お金なくなりました』って言われたら、暴動が起きるレベルだぞ……」と、不安でいっぱいでした。
特に我が家のような子育て世代は、「いま」お金が必要なのです。将来の年金のために年間130万円も積み立てるより、そのお金を今の手元に残して、塾代や車の維持費、家族での旅行に回したいというのが本音でした。
「これって、ただの『払い損』なんじゃないの? 民間の保険なら途中で解約できるけど、年金は逃げられないし……」
そんな妻の不安を解消するべく、私は「厚生年金は本当に損なのか?」という最大のテーマに切り込んでいくことになります。そして、その過程で、私たち夫婦の「家計の守り方」を根本から覆す、ある衝撃の事実に出会うことになったのです。
厚生年金は本当に「払い損」なのか?夫婦で出した結論
老齢年金だけを見ると不安になるけれど
「ねえ、年金って老後にもらうやつでしょ? もし私たちが65歳とか70歳になる前に死んじゃったら、ボーナスから引かれたあの10万円も、毎月引かれてる何万円も、全部パーになるってこと?」
妻の鋭い指摘に、私も最初は言葉に詰まりました。「払った分だけ将来戻ってくる」と信じたいところですが、実際のところ、老後の「老齢年金」だけを切り取って損益分岐点を計算すると、私たち現役世代は80代後半〜90歳近くまで長生きしないと、会社負担分も含めた総支払額の「元が取れない」と言われています。
「やっぱり払い損じゃない! だったら今すぐ現金で返してよ。車のタイヤも買えないのに、見えない老後のために年間何百万円も強制没収されるなんて絶対おかしい!」
妻の怒りが再び再燃しかけたとき、私は年金機構のサイトの片隅に書かれていた「ある事実」を見つけました。そして、これこそが、私たちが「厚生年金は単なる老後の貯金ではない」と気づく最大の転換点になったのです。
家族を守る最強の保険?「障害年金」と「遺族年金」のコスパ
「ママ、ちょっと落ち着いて聞いて。俺も完全に誤解してたんだけど、年金って老後のため『だけ』のものじゃないらしいんだ」
「え? どういうこと?」
調べてみて初めて知ったのですが、公的年金には「老齢年金」のほかに、私たちが病気やケガで働けなくなったときの「障害年金」と、万が一私が死んでしまったときに残された家族に支払われる「遺族年金」という機能が備わっていました。
しかも、ここでも「会社員(厚生年金加入者)」の強みが爆発します。自営業などの国民年金と比べて、厚生年金はこの「障害」と「遺族」に対する補償が桁違いに手厚いのです。
「たとえばさ、もし俺が明日交通事故で死んじゃったとするじゃん? そしたらママと2人の子どもたちには、子どもが18歳になるまで毎月まとまったお金が振り込まれ続けるんだ。しかも、子どもが大きくなった後も、ママには一生涯にわたって遺族厚生年金が出続ける計算になる」
「……えっ、一生涯?」
「そう。さらに、もし俺が重い病気で寝たきりになって働けなくなった場合でも、手厚い障害年金が降りる。つまり、ボーナスから引かれた10万円は『老後のためのただの貯金』じゃなくて、『今この瞬間、家族を路頭に迷わせないための超強力な保険料』でもあったんだよ」
これを聞いた妻は、しばらく絶句した後、深くため息をつきました。
「そっか……。私、完全に勘違いしてた。パパに万が一のことがあっても、私たち家族が明日からすぐ生きていけるための命綱を、会社が半分お金を出して買ってくれてたってことなんだね」
この日を境に、私たちの「ボーナスから引かれる10万円」に対する憎しみはスッと消え去りました。高いのは事実です。手取りが減って苦しいのも事実です。しかし、それが「家族を守る最強の保険」として機能していることを知ったことで、得体の知れない搾取から、「納得のいくコスト」へと見え方が変わったのです。
年金への不満を乗り越え、我が家が始めた「家計防衛策」
年金の手厚さを知ったからこそ「民間の生命保険」を大幅見直し
「でもさ、遺族年金でそれだけ手厚くカバーされてるなら、今うちが払ってるあの高い生命保険、もしかして過剰なんじゃない?」
冷静さを取り戻した直感派のママが、突然鋭い切り口で家計の矛盾を突いてきました。
当時の私たちは、「自分たちに何かあったら子どもが困るから」という漠然とした不安だけで、よく分からないまま毎月2万円近い民間の生命保険と医療保険を掛け捨てで払っていました。
「確かに……! 国の年金で最低限の生活費がカバーされるなら、民間の保険は『年金だけじゃ足りない部分』を補うだけで十分なはずだ!」
私たちはすぐさま保険証券を引っ張り出し、遺族年金でまかなえる金額を計算した上で、民間の生命保険を大幅にダウングレードしました。結果として、なんと毎月の保険料を1万5,000円近く削ることに成功したのです。
ボーナスから強制的に引かれる10万円の厚生年金は、私たち個人の力ではどうすることもできません。しかし、「引かれている額がどんな価値を持っているか」を正しく知ることで、私たちが自分たちでコントロールできる別の支出(民間保険)を見直し、無駄を削ぎ落とすことができたのです。
浮いたお金で新NISAと「今の家族の生活」を充実させる
保険の見直しで浮いたお金は、年間にして約18万円。図らずも、あのボーナスから引かれて泣きそうになっていた厚生年金の額に匹敵するお金を、自らの手で「コントロール可能な現金」として取り戻すことができました。
「パパ、この浮いたお金で、まずは車検のタイヤ代払えるね!」
「だな! あとは、老齢年金だけだとさすがに老後資金が足りないだろうから、残りの分は新NISAでインデックス投資に回そう。税金もかからないし、いつでも引き出せるから安心だ」
こうして我が家は、手取りの少なさをただ嘆くのをやめました。
国の手厚い制度(厚生年金)を土台として最大限に利用しつつ、足りない部分は「新NISA」で効率よく増やす。そして何より、我慢ばかりするのではなく、節約して浮いたお金を「今の家族の笑顔」のために使う。これこそが、私たちサルヂエファミリーが辿り着いた、ストレスフリーな家計防衛策です。
まとめ:引かれる額に嘆くより、自分たちでコントロールできるお金を増やそう
「ねんきん定期便」やボーナスの明細を見て、「社会保険料が高すぎる!」と絶望する気持ちは痛いほどよく分かります。私たちも、あの日は本気で怒り狂い、会社や国を恨みかけました。
しかし、その感情だけで終わらせてしまうのは、あまりにももったいないことです。
会社員には「労使折半」という最強の福利厚生があり、私たちが払っている額の裏には、家族を守る分厚いセーフティネットが存在しています。その事実を「知っているか、知らないか」で、その後の家計の動きは全く変わってきます。
手取りを増やすために、給料の天引き額に文句を言っても1円も増えません。けれど、その仕組みを理解して民間の保険を見直したり、国の非課税制度(NISA)を活用したりすることは、今日からでもできます。
もし今、あなたが明細を見てため息をついているなら、ぜひ一度、ご自身の加入している保険や固定費を見直してみてください。「なんだ、案外うちの家計も捨てたもんじゃないな」と、夫婦で笑い合える日が必ず来るはずです。