お金を増やす(資産運用の基本)

金・銀・プラチナの価格はなぜ変わる?初心者にもわかる貴金属相場の基本

「最近、ニュースで『金価格が最高値を更新』ってよく聞くけど、なんで今なの?」
「逆にプラチナは昔より安いって本当? 同じ貴金属なのにどうして?」

そんな疑問を持ったことはありませんか?

将来のために少しずつ資産形成を考えたいけれど、マーケットのニュースは専門用語ばかりで難しく感じてしまうもの。「よく分からないから」と敬遠してしまうのは、実はとてももったいないことです。

価格が動くのには、必ず「理由」があります。その仕組みさえ知ってしまえば、ニュースは「ただの数字の変動」から「世の中の動きを知るヒント」に変わります。

この記事では、金・銀・プラチナという代表的な3つの貴金属について、価格が動く仕組みを初心者目線でやさしく解説します。

ママ:「ねえ、テレビでまた『金が高い』って言ってたけど、やっぱり景気が悪いのかな? なんとなく不安になっちゃう。」

パパ:「確かに『有事の金』なんて言葉もあるからね。でも、金が上がる理由は不安だけじゃないんだよ。実は『円安』や『金利』も大きく関係しているんだ。」

ママ:「うっ、いきなり難しい言葉…。もっと簡単に教えてよ。そもそも金とプラチナって、色が違うだけじゃないの?」

パパ:「全然違うよ! たとえるなら、金は『安定した王様』、プラチナは『気難しい職人』みたいなものかな。それぞれの『性格』を知ると、ニュースの見え方が変わってくるよ。」

そもそも「金・銀・プラチナ」ってどう違う?特徴と役割

貴金属とひとくくりにされがちですが、金・銀・プラチナはそれぞれ「誰に」「何のために」求められているかが全く異なります。まずはそれぞれのキャラクター(特徴)を押さえましょう。

金属 イメージ 主な用途 特徴
金(ゴールド) 守りの資産 宝飾品、投資、中央銀行 価値が安定しており、世界共通の「通貨」のような存在。
銀(シルバー) 働き者 工業用(電子部品など)、宝飾品 金より市場規模が小さく、景気の影響を受けやすい。
プラチナ 変化球 工業用(自動車)、宝飾品 希少性は高いが、自動車産業の景気に左右されやすい。

金(ゴールド)|歴史ある「守りの資産」

金は、人類の歴史の中で何千年もの間、「価値のあるもの」として扱われてきました。その最大の特徴は、「それ自体に価値がある」と世界中で信じられていることです。

パパ:「国のお金(紙幣)は、国が信用を失えばただの紙切れになるリスクがある。でも金は、どの国に行っても『金』としての価値が変わらない。だから『無国籍通貨』とも呼ばれるんだ。」

ママ:「なるほど。だから世界が不安定になると、みんな安心できる金を買おうとするのね。」

また、金は錆びたり腐ったりしないため、長期保存に向いています。この「変わらない安定感」こそが、資産形成において「守り」の役割を果たしてくれる理由です。

銀(シルバー)|産業を支える「働き者」

銀は金よりも安価で身近な存在ですが、投資の世界では少し動きが荒っぽいことで知られています。

理由は、工業用としての利用が多いから。スマートフォンや太陽光パネルなど、身の回りのあらゆる電子機器に使われています。そのため、「景気が良くなってモノがたくさん作られる」時期には需要が増え、価格が上がりやすい傾向があります。

パパ:「金が『お金の代わり』なら、銀は『産業の血液』に近いかな。景気が良いと工場が忙しくなって、銀がたくさん必要になるイメージだね。」

プラチナ(白金)|希少だが景気に敏感な「変化球」

プラチナは金よりも採れる量が圧倒的に少なく、非常に希少な金属です。日本では結婚指輪のイメージが強いですが、世界的に見ると「工業用(特に自動車の部品)」としての需要が半分近くを占めています(※1)。

特にディーゼル車の排ガスをきれいにする装置(触媒)に使われるため、自動車産業の景気や、環境規制のニュースに価格が大きく左右されます。

ママ:「えっ、指輪だけじゃないの? 車の部品に使われてるなんて知らなかった!」

パパ:「そうなんだ。だから『景気が悪いと車が売れない』→『プラチナがいらなくなる』という連想で、価格が下がりやすい側面があるんだよ。」

なぜ価格は動く?知っておきたい5つの変動要因

それぞれのキャラクターがわかったところで、次は「何がきっかけで価格が動くのか」を見ていきましょう。主な要因は5つあります。これらはどれか一つだけでなく、複雑に絡み合ってその日の価格を決めています。

要因1:世界情勢の不安(「有事の金」とは)

戦争や紛争、パンデミック、大企業の倒産など、世界を揺るがす大きな不安(地政学リスク)が発生すると、投資家は「リスクのある資産(株など)」を売って、「安全な資産(金)」を買おうとします。これを「有事の金」と呼びます。

不安な時ほど、「絶対に価値がなくならないもの」にお金を避難させたくなる心理が働くのです。

要因2:為替相場の影響(円安と金価格の関係)

日本で暮らす私たちにとって、とても重要なのが「円安・円高」の影響です。

金やプラチナは国際的には「ドル」で取引されます。そのため、海外での金価格が変わらなくても、「円安(ドルが高くなる)」になると、日本国内での金価格は上がります

パパの解説メモ

「1ドル=100円の時と、1ドル=150円の時では、同じ『100ドルの金』を買うのに必要な日本円が変わるよね? 最近日本で金価格が過去最高値を更新しているのは、世界的な金高に加えて、歴史的な『円安』が追い風になっているからなんだ。」

要因3:各国の金利政策(金利と利子のつかない金)

金には、銀行預金や国債と違って「利子(金利)」がつきません。持っているだけではお金を生なないのです。

そのため、アメリカなどの金利が高い時は、「金を持っているより、ドルで貯金したほうが利息がついてお得だ」と考えられ、金は売られやすくなります。逆に金利が下がると、金の魅力が相対的に増して買われやすくなります。

要因4:需給バランス(宝飾品・工業用・投資用)

モノの値段の基本である「需要(欲しい人)」と「供給(売りたい人・採れる量)」のバランスです。

  • 供給側: 鉱山での生産トラブルやストライキがあると、供給が減って価格が上がります。
  • 需要側: 中国やインドなど、金を好む国の人々が豊かになって宝飾品をたくさん買うようになると、価格が上がります。プラチナであれば、自動車の生産台数がカギを握ります。

要因5:投資マネーの流入(ETFなどが与える影響)

かつて金を買うには現物を購入する必要がありましたが、現在は「ETF(上場投資信託)」などを通じて、手軽に金へ投資できるようになりました。

これにより、プロの投資家だけでなく世界中の個人投資家のお金(投資マネー)が市場に入り込みやすくなり、価格の変動幅を大きくする要因の一つになっています。

よくある誤解「金が上がる=不景気」だけではない

「有事の金」という言葉が強いため、「金価格が上がっている=世の中が暗い方向に向かっている」と思われがちです。しかし、実はそれだけではありません。

安全資産としての側面と「インフレに強い」理由

金は「守りの資産」ですが、これは単に戦争などの恐怖から資産を守るという意味だけではありません。「インフレ(モノの値段が上がること)」から資産価値を守るという意味も持っています。

インフレになると、現金の価値は相対的に目減りします。例えば、今まで100円で買えていたリンゴが200円になったら、手持ちの100円玉の価値は実質半分になってしまいますよね。

一方、金は「モノ」そのものです。物価が上がるときは、同じ「モノ」である金の価格も一緒に上がりやすい傾向があります。

パパ:「つまり、現金の価値が下がるような時こそ、金が輝くんだ。『お金の避難場所』というのは、インフレ対策という意味も大きいんだよ。」

「プラチナは景気に強い」意外な逆相関関係

ここで面白いのがプラチナです。金とは逆に、プラチナは「世の中の景気が良いとき」に価格が上がりやすい傾向があります。

前述の通り、プラチナの主な使い道は自動車などの工業用です。景気が良く、人々が車を買ったり工場が稼働したりすると、プラチナの需要が急増するからです。

  • 世界不安・不況時: 金が買われやすい(プラチナは売られやすい)
  • 世界好況・安定時: プラチナが買われやすい(金は落ち着きやすい)

このように、金とプラチナはシーソーのように逆の動きをすることがよくあります。

金とプラチナの価格逆転現象が起きる背景

「結婚指輪といえばプラチナの方が高いイメージだったのに、今は金の方が高いの?」と驚く方も多いでしょう。実際、近年は金価格がプラチナ価格を上回る「逆転現象」が定着しています(※2)。

これには以下の理由が考えられます。

  1. 「安全資産」としての需要拡大: 不透明な世界情勢が続き、金の人気が圧倒的に高まった。
  2. ディーゼル車の減少: 欧州などで「脱ディーゼル車」の動きが進み、プラチナの需要見通しが弱まった。

かつての常識が通用しないのも、相場の面白いところであり、注意が必要なポイントです。

ニュースをどう見る?初心者が押さえるべきチェックポイント

仕組みが分かったところで、私たち個人はこれからどうすれば良いのでしょうか? ニュースに振り回されず、賢く付き合うためのポイントを整理します。

短期的なニュースへの冷静な向き合い方

「金価格、本日最高値を更新!」「急落!」
こうした毎日のニュースを見て、「今すぐ買わなきゃ!」「もう売った方がいい?」と焦るのは禁物です。

これまで見てきたように、価格は「為替」「金利」「世界情勢」など多くの要因が絡み合って動きます。プロでも明日の価格を完璧に当てることは不可能です。

ママ:「えー、じゃあどうすればいいの? タイミングなんて分からないよ。」

パパ:「だからこそ、『タイミングを当てようとしない』のが正解なんだ。一気に買わずに、時間を味方につけるのがコツだよ。」

長期的な視点(コツコツ積立・分散投資)のメリット

初心者におすすめなのは、価格が高い時も安い時も、毎月一定額をコツコツ買い続ける「積立投資(純金積立など)」です。

  • 価格が高い時:買える量は少なくなる
  • 価格が安い時:買える量は多くなる

これを続けることで、平均購入価格を自然とならすことができます(ドル・コスト平均法)。「資産の一部を金で持っておく」ことは、将来もし日本円の価値が下がったり、世界的な不況が来たりした時の「保険」になります。

「儲けるために全額突っ込む」のではなく、「資産全体の10〜20%くらいを金にして、守りを固める」くらいの感覚がちょうど良いでしょう。

実物資産を持つ前の注意点

最後に、株式や投資信託とは違う「実物資産」ならではの注意点も知っておきましょう。

  1. 保管のリスク: 現物(延べ棒やコイン)を自宅に置く場合、盗難のリスクがあります。
  2. 手数料が高め: 株式の取引手数料に比べ、購入・売却時の手数料(スプレッド)が割高になる傾向があります。
  3. 売却時の税金: 利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として課税対象になります(※3)。年間50万円の特別控除枠がありますが、短期保有か長期保有かで計算が変わるため注意が必要です。

まとめ|相場の波を「理由」で理解し、冷静な判断を

ここまでのポイントを振り返りましょう。

  • 金(ゴールド): 信頼と歴史の「守りの資産」。不況やインフレに強い。
  • プラチナ: 工業需要に支えられる「景気敏感な資産」。好景気で輝く。
  • 価格変動の理由: 「不安」「円安」「金利」「需要」の組み合わせで動く。

パパ:「どう? ニュースで『金が上がった』と聞いたら、『あ、円安の影響かな?』とか『世界で何か不安なことがあったのかな?』って想像できそう?」

ママ:「うん。今まではただ『高いなー』としか思わなかったけど、その裏にある理由が見えると少し面白そう。これからはニュースを見る目が変わりそう!」

価格が動くことには必ず理由があります。その理由を知っておけば、一時的なアップダウンに一喜一憂せず、「今はこういう時期だから」とどっしり構えていられます。

まずは少額から、将来の安心のために「金・プラチナ」という選択肢を検討してみてはいかがでしょうか。


出典・参考情報
※1 貴金属の特性 - 三菱UFJ信託銀行(確認日:2026/01/10)
※2 金・プラチナの価格差について - 田中貴金属工業(確認日:2026/01/10)
※3 金地金を売ったときの税金 - 国税庁(確認日:2026/01/10)

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